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女はつらいよ。男女が入れ替わって生きる、奇想天外な古典

『とりかへばや物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』鈴木裕子(編集)

リフダ・ハニファさん(千葉県立柏高等学校2年)

『とりかへばや物語』(角川ソフィア文庫/KADOKAWA)
『とりかへばや物語』(角川ソフィア文庫/KADOKAWA)

男の人は女の人をうらやましいと思ったことはありますか。映画館やお店などでレディースデーがあるのを「いいなぁ」と思うことがあるかもしれません。私は、逆に、冬などは、制服がズボンである男子をうらやましく思います。では実際に性別を変えて過ごすことになったらどうなるか。紹介する本はそんなお話です。

 

『とりかへばや物語』は、いわゆる古文。「とりかへばや」とは、「取り換えたいなぁ」という意味で、ある大臣の二人の子供、活発で社交的な女の子と内気でおしとやかな男の子がお互いに入れ替わって生きていくというお話です。

 

この本は、国語の授業で使っている資料集にあらすじが載っていました。でも、そのあらすじはとても短くて、男と女のきょうだいが入れ替わって過ごすとしか書かれておらず、私は千年以上も前なのに、なんて面白い設定を思い付くんだと、とても軽い気持ちで読みました。実際は難しいお話でしたが、面白くて3日ほどで読み終えました。

 

このお話で私が気になったのは、男として過ごしている女の子のほうの苦悩の描写が、女として過ごしている男の子よりも多いことです。この時代は男社会なので仕方ないのかもしれません。

 

男の子は女官として女性の東宮に出仕し、東宮に褒められたりして自信がついて、成長していく。一方、男になった女の子のほうは、仕事もしなければならないし、人と交流しなくてもいけない。あと男としてお嫁さんを取らなければいけない。ですが彼女は女の子です。女の子と女の子では子供ができませんよね。だから一緒になったお嫁さんとの関係はとても冷え込んだものになってしまうのです。

 

さらには、成長した女の子の友人である、女好きのキャラが登場します。この人がとんでもないことをやらかすんです。この友人は女として過ごしている男の子に思いを寄せたり、友人である女の子の妻と一夜をともにして子供を作ってしまったり。さらには男として過ごしている女の子の正体が女の子だわかると、これまた一夜を過ごしてしまうんですね。そして、子供ができてしまいます。でも考えてみてください。男として生きている彼女に子供ができれば、いずれ、おなかが大きくなり、周りの人に不審に思われてしまいます。では、この女の子はどうしたのか。その続きはぜひ読んでもらいたいと思います。

 

リフダ・ハニファさん
リフダ・ハニファさん

この「ビギナーズ・クラシックス日本の古典」というシリーズでは、原文のほかにも現代語訳や、時代背景の説明なども載っているので、とてもわかりやすいと思います。

 

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2015 関東大会の発表より>

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リフダさんmini interview

好きなジャンル・作家

・・・

宮部みゆきさん、サスペンス、いわゆる純文学と呼ばれるものが好きです。

 


小学生の頃

小学生の頃から外で遊ぶより本を読むことが好きでした。その頃好きだったのはJ.K.ローリングの『ハリーポッター』の最終話です。

それだけに、映画の出来が残念でした。

 


2015年印象本

伊藤計劃さんの『屍者の帝国』の劇場版です。世界観に引き込まれました。