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親友の死にショックを受け、アフリカへ、そして医者に

『渋谷ギャル店員 ひとりではじめたアフリカボランティア』栗山さやか

伊藤加寿也くん(千葉・柏市立柏高等学校3年)

『渋谷ギャル店員 ひとりではじめたアフリカボランティア』(金の星社)
『渋谷ギャル店員 ひとりではじめたアフリカボランティア』(金の星社)

著者の栗山さんは、若いころ、渋谷のファッションビル109のギャル店員でしたが、三つの出会いが栗山さんの人生を大きく変化させました。

 

栗山さんには親友がいました。通称「ひらちん」。彼女は、22歳で乳がんを発症し、3年間の闘病生活の末、亡くなってしまいました。親友の死に、夜も眠れないほどのショックを受け、自分はなぜ生きているんだろうと思い、自分の人生を改めて見つめ直したいと思うようになりました。そこで、一冊の本と出会います。

 

坂之上洋子さんの『犬も歩けば英語にあたる』という海外体験記です。それを読んで、栗山さんもたくさんの国を見てみたいと思い、バックパッカーで海外へ旅立ちました。

 

2つ目の出会いは、アジア、中東、ヨーロッパを旅し、いつしか栗山さんは、「自分の時間を他の人のために使うことも良いのではないか」と思うようになりました。そこで、旅で出会ったバックパッカーと話して、こう言われました。「アフリカは想像していたより何もかもが悲惨だ」。栗山さんは少しでもいいので力になりたいと思い、アフリカに渡りました。

 

3つ目の出会いは、訪れた国、モザンビークとエチオピアです。モザンビークでは、現地の支援している人が横領目的でNPOを立ち上げている実態を知りました。栗山さんは、こんなことはあってはならないと思い、自分でNPO『アシャンテママ』という協会を立ち上げました。

 

そこでは、貧しい女性や子供たちのために、病気などの正しい知識を教えたり、貧しくて学校に通えない子供たちを集めて授業したり、ご飯を配ったりしていました。エチオピアでは、エイズ、エイズによるがん、結核といった重い病に苦しんでいる自分よりも若い女の子たちが、日々亡くなっていく姿を目にし、医療の資格を取得して、貧しい国で苦しんでいる人のために役立ちたいと思うようになりました。そこで、モザンビークにある国立医療技術学校で、2年間ポルトガル語を勉強しながら医療の勉強をし、首席で卒業し、医師の資格を取得しました。

 

伊藤加寿也くん
伊藤加寿也くん

私は、25歳で栗山さんは親友の死をきっかけに旅に出て、今では約1万3000キロ離れたモザンビークという街で、人々のために医師として貢献している姿に驚きました。人は10年でこんなにも変わることができるのです。

 

私は、人のために役立つ仕事をしたいと思っていましたが、この本を読んで、改めて日赤の職員になって、人々のために役に立ちたいと決めることができました。


栗山さんが出会った本の著者、坂之上洋子さんは、栗山さんの立ち上げた『アシャンテママ』という活動に協力しているそうです。栗山さんのブログ「プラ子旅する」も見てみてください。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル関東大会の発表より>

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伊藤くんmini interview

本好きのきっかけ

中学生の時に友達から『バカとテストと召喚獣』(井上堅二:著)を勧められてライトノベルを読み、そこからいろいろな本を読むようになりました。 

 


影響本

今回紹介した『渋谷ギャル店員 ひとりではじめたアフリカボランティア』です。日本にいたらわからない外国のリアルな状況が描かれていて、海外に興味を持つようになり、進路決定に影響を受けました。

 


これから

世界各地を旅した人の書いた本を読みたいです。