彼女の涙の意味は? 必ず2度読んでしまう不思議な恋愛小説
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』七月隆文
西本陸くん(京都府立向陽高等学校3年)

明日自分の好きな人とデートに行くとしましょう。何を考えますか? デートのプランを考えますか? 何の服を着て行こうか考えますか? でも僕はまず考えます。彼女つくろうと(笑)! 僕が今回おすすめする本のヒロインはこれから起こることを考えます。つまりデートで起こること、行動や会話の内容、何時に何が起こるかということをすべて考えて行動する、そんな不思議なヒロインが登場するお話です。
主人公は南山高寿という京都府の美術大学に通う大学生です。それとヒロインの福寿愛美。この2人の恋愛小説です。でも、ただの恋愛小説ではありません。
物語の始まりは、主人公の高寿の通学中の電車の中での一目惚れ。高寿が電車で座っている時に、目の前に女性が現れます。それが福寿さん。何か運命的なものを感じた高寿は、彼女が降りた時に自分が降りる駅ではなかったけれど勢いあまって降りてしまいます。そして「一目惚れしました」と声をかけます。普通に考えたらビックリですよね。僕だったら絶対にしないです。主人公も、そもそもこういうタイプじゃないのですが、そう言ってしまうくらい福寿さんはかわいいい人だったのです。
2人は降りた駅で話をしますが、福寿さんは用事があるからと帰ります。当たり前ですよね、急に声をかけられたのですから。そこで別れ際に高寿がさりげなく「また会えますか?」って聞きます。その時、なんと福寿さんが急に泣きついてくるんです。そりゃパニックになりますよね。いきなり初対面の一目惚れした人が泣きついてくるなんて。それがこの小説の謎の始まりです。2人は交際することになるのですが、この福寿さんの涙は小説を読むときにぜひ注目していただきたいポイントです。

この小説には様々な伏線が張られています。デートを重ねていくと、ときどき不思議なことが起こります。そして物語の最後に、涙の理由や不思議なことが回収されるできごとが起こります。
この本を読み終わったときに必ず、みなさんは2回目を読みます!しかも間を開けずにそのまま読んでしまうんです。必ず2回読む本。タイトルが重要なカギを握っているのは間違いありませんが、何を意味しているのかはぜひ読んで確かめてください。
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<全国高等学校ビブリオバトル2015 関西大会の発表より>
西本くんmini interview
好きな作家・ジャンル
重松清さんが好きです。ジャンルは特にこだわりはありません。
小学生の頃
小学生の時に読んでいたシリーズ物の本、特に『三国志』にはまってから本を読むのが好きになりました。『三国志』は、数々の戦いの場面や様々な武将が織りなすドラマの部分に惹かれました。