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写真家が旅したアラスカの大自然、迫る命への感謝

『アラスカ 光と風』星野道夫

矢野光一くん(大阪・関西創価高等学校3年)

『アラスカ 光と風』(福音館書店)
『アラスカ 光と風』(福音館書店)

写真家であり冒険家である星野道夫さんは、自らアラスカの地に赴いて、そこでイヌイットの人たちと生活を共にします。そのなかで得た体験、例えばイヌイットは狩猟民族なのでその場で獲ったアザラシなどをそのまま食べて生活するのですが、そこで学んだことを日記風に書いています。それと同時にこの人は写真家なので、現場で撮った写真や動物の写真がたくさん出てきます。

 

この本に出会い、僕は、大きく3つの点で変わりました。

 

ひとつは自然の中へ足を運ぶようになりました。9月の初旬、1人で山へ行ってキャンプをして、1人でご飯を食べ、1人でテントをたたんで山から下りてくるという経験をしました。それはこの本に影響されたからです。

 

2つ目は文章力を僕にくれたこと。この本には文章の書き方が書いてあるわけではありませんが、筆者の考え方やものの見方を通して、新たな視点から文章が書けるようになりました。これを読んだ後に、全国規模のエッセイコンテストで奨励賞をいただきました。それは、この本で得られた新たな視点で書いたことによるものだと思います。

 

もうひとつは、日々の中で命というものの重さや大切を感じるようになりました。僕たちは朝起きてご飯を食べて、昼も夜もご飯を食べて、永久に物を食べています。自分が食べているものすべてはもともと生きていた命そのものであって、それをいただくからこそ自分が今こうやって生きているわけです。よくよく考えてみたら生かされているという表現の方が正しいと思います。日常の中で自分が生きていることに感謝しなくてはいけないということを、様々な場面で感じるようになりました。 

 

矢野光一くん
矢野光一くん

また、命に対する考察がすごく深いと思いました。例えば、熊は草を食べた鹿を食べて生活しています。その熊も死ねば大地に還り、草木の養分となり、その草木をまた鹿が食べて食物連鎖が起こります。動物の命も形は変わるけれど永遠性があり、ある種その物質がめぐりめぐって地球はまわっていると思います。動物一匹とったとしても、いろいろなものがめぐっているのが社会なのではないでしょうか。

 

エッセイや写真が載っているだけのようですが、すごく力を持った本です。きっと人生を変える力があるのだと思います。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル関西大会の発表より>

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矢野くんmini interview

好きなのは

好きなジャンルは紀行文や小説。作家は、星野道夫、司馬遼太郎。

 


小学生の頃

星新一が好きでした。

 


影響本

司馬遼太郎の『峠』で身につけた思考法が生きました。