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トリビア満載!どうでもいいことに面白さがある

『アラマタ大事典』荒俣宏

小倉諒香さん(千葉・市川高等学校1年)

『アラマタ大事典』(講談社)
『アラマタ大事典』(講談社)

私がこの本と出会ったのは小学校3年生のこと。読書好きの父親が、私に買い与えてくれたのですが、第一印象は、あまりよいものではありませんでした。結果としてこの本のとりこになって読み漁ってしまうのですが、最初私はこの表紙を見て、何だ、この本はと。怪しいこと、危ないことが書いてある本ではないかと、恐る恐るページをめくってみたのを覚えています。

 

表紙には、謎のおじさんや、カッパやエイリアン、ミイラなど、裏表紙にもいろいろな怪しいものが書いてあり、この表紙、ちょっと不気味だなと思ってしまいます。

 

さて、どのようなことが書いてあるのでしょうか。例えばこの外国語の項目。

 

―ケニアであった本当の話。観光旅行にいった熊本県の人が現地の人に「どこから来ましたか?」と英語で聞かれて、「from Kumamoto.熊本から」と答えた。相手はニヤリとして「me too.私も」と言って、「Everybody come from Kumamoto.誰でも熊本から来る」と続ける。熊本県の人が目を白黒させていると、間もなく「Kumamoto」は現地のスワヒリ語で「子宮」の意味だということがわかって大笑い。なるほど、人類みんなきょうだいというわけだ。

 

このような雑学やトリビアなどをたくさん詰めた一冊です。著者の荒俣宏さんは、よくテレビにも出ているので、ご存じの方多いと思いますが、博物学者であり、小説家であり、さらには妖怪評論家であり、知識人の究極系みたいな人です。その荒俣さんの独自の見解に基づいて303の項目が書かれています。

 

例えば、面白いなと思ったのが、「金平糖:大物理学者、寺田寅彦を夢中にさせたお菓子」。金平糖を研究した寺田寅彦は大の甘党。金平糖に興味を持って研究したと言いながら、金平糖を食べたかっただけなのかもしれない。でももし寺田寅彦さんが甘党じゃなかったら…。別の研究をしていたら…。と一つの項目から好奇心の範囲を広げることもできます。

 

小倉諒香さん
小倉諒香さん

全部で303項目、日本のこと、生物のこと、遊びのこと、宇宙のこと、科学のこと、それからファンタジー。さらには変な人のことまで、様々なことが書いています。どうでもいいことかもしれません。でもどうでもいいけど、すごく面白いことって、世の中にたくさんあふれていると思います。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2015 関東大会の発表より>

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