部活の喧嘩が、中東の紛争にシンクロ! 世界の大混乱に挑む学園ミステリー
『モナミは世界を終わらせる?』はやみねかおる
今村友哉くん(長崎県立西陵高等学校)

この本に出会ったのは、大好きなカスヤナガトさんが表紙の絵を描いていたから。最初は絵に興味を持ち、読んでいくうちに内容もとても面白いと気づき、みなさんにおすすめしたいと思いました。
主人公はモナミという女子高生で、まわりに迷惑ばかりかけてしまう、いわゆるドジッ子です。そんな彼女を中心にストーリーは進んでいくのですが、ある日モナミの前に一人の青年が現れ、こう言い放ちます。「お前の身の回りで起きる出来事と、世界の情勢がシンクロしている」。これを聞いてモナミは混乱しますが、それを証明するような出来事が学校で起こり青年が言っていたことを理解します。
自分が感じたこの本の魅力は、このシンクロする出来事の内容にあります。例をあげると、野球部とサッカー部とラグビー部、この3つの部が朝練の場所の取り合いで喧嘩をしている。そこへ先生が入り喧嘩をやめさせたことは、中東の国々の紛争に国連軍が介入し、紛争を鎮圧したことにシンクロしてきます。また、生徒が花壇の手入れをさぼって花を枯らしたことは、ある国の砂漠化を止めるために参入していた企業が離れていったことにシンクロします。このように、学校で起きる出来事が世界規模に大きく発展していくところが面白いと思いました。
そんなシンクロが起こる日常をモナミは過ごしていくのですが、ある日、学校に不満をもった生徒が爆弾を仕掛けたという内容の脅迫状を学校に突き付けます。それとほぼ同じ時期に、ある国が中東の国々に核兵器を提供したというニュースが飛び込んできます。学校で爆弾が爆発してしまうと、中東の国々での核兵器の爆発につながって世界は大混乱に陥ってしまう。それを知ったモナミは必死になって爆弾を見つけようとします。果たしてモナミは爆弾を止めて世界の大混乱を防ぐことができるのか。
この先はぜひ自分の目で確かめてください。

この本を読んで、自分にはモナミのような大きな力はないけれど、小さな力でも何か変えられるのではないかと感じました。例えばその辺に落ちているゴミを拾ってゴミ箱に捨てる。これだけで世界は変わらないけれど、まわりのちょっとした環境だったら変えられる気がします。それが広がっていけば、もしかすると世界の環境が変わるかもしれない。そう考えれば、自分がとる行動もすべてが無駄にならない。何か行動を起こすときは、まずは自分からやってみようと前向きになれました。
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<全国高等学校ビブリオバトル長崎県大会の発表より>
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今村くんmini interview
好きなのは
好きなジャンルは、SF、推理小説。作家なら、星新一、東川篤哉。
きっかけ
『うらめしや』星新一
本が好きになったきっかけは、この本です。ある科学者は研究のすえ、幽霊を生み出すことに成功。しかしその幽霊は「うらめしや」としか言わずにゆらゆらゆれているだけの存在。これを使って科学者は金もうけをしようと考えるが・・・という内容です。