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犬の想いを伝えたい。殺された犬の骨で花を育てる高校生たち

『世界でいちばんかなしい花 それは青森の女子高生たちがペット殺処分ゼロを目指して咲かせた花』瀧晴巳

関友介くん(滋賀県立水口高等学校2年)

『世界でいちばんかなしい花 それは青森の女子高生たちがペット殺処分ゼロを目指して咲かせた花』(ギャンビット)
『世界でいちばんかなしい花 それは青森の女子高生たちがペット殺処分ゼロを目指して咲かせた花』(ギャンビット)

僕は今、1匹犬を飼っています。でも、もし僕たちのような飼い主が見つからない犬がいたら、どこにいくかわかりますか。保健所って思いますよね。では、その先は、保健所で殺処分された犬たちの骨がどうなるのか知っていますか。実は一般事業系廃棄物、つまりゴミになるのです。

 

僕が紹介したい本は『世界でいちばんかなしい花』。タイトルにある悲しい花ですが、今の話とどうやって花がつながっていくかお話しします。

 

殺処分された動物たちの骨は、お米の入っているような茶色のでっかい袋にぎっしり入れられ、そのままゴミとしてポイッと捨てられます。その事実を青森県の農業高校に通う女子高生たちが知り、「大人ふざけんなよ。私たちは絶対にこんな大人になりたくない。何かしたい」という思いからある活動を始めます。それは殺処分された動物たちの骨をもらってきて肥料にして、その肥料で花を咲かせようじゃないかという、「命の花プロジェクト」です。理不尽に人に殺され、飼い主たちに自分たちはまだ生きたかったということを伝えられずに死んだ犬たち。その想いをどうにか伝えたい、それがこの活動の一番のコンセプトです。

 

この本では、まず、農業高校の生活が描かれています。農業高校では実習をしますが、その中でも鶏の実習に心が響くものがありました。それは鶏を自分たちで殺して毛を抜いたりして、自分たちで調理して食べるというものです。生きているものを殺して命を学ぶという方法ですが、この「命の花プロジェクト」は逆からの観点です。生きているものではなく死んだ動物から、もう一度命というものを見てみようではないかという活動で、僕はそこがすごく響きました。現在この活動のおかげで年々動物たちの殺処分が減っているそうです。

 

この本は、特にこれから犬を飼う人にこそ読んで欲しいと思います。犬一匹生涯面倒をみるのに300万円かかります。エサ代プラス治療費など全部含めてです。さらにリアルな体験も書かれています。殺処分するときはボタンを押すのですが、このボタンを押すのは獣医さん。動物が大好きで生き物の命を救いたいと思って獣医さんになった人が、この役をしなくてはいけないのです。

 

関友介くん
関友介くん

「命の花プロジェクト」は何年も続いています。6人の女の子たちが中心となって活動しているのですが、彼女たちは卒業後、農業に就職する人やユニクロに就職する人もいるのですが、それでも絶対に「命の花プロジェクト」のことを忘れずに今でも取り組んでいるのです。僕はサボっていた散歩へマメに行くようになり、今まで以上に犬への愛情が湧くようになりました。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2015 関西大会の発表より>

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関くんmini interview

好きなジャンル・作家

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