価値観を見つめ直す! 世界のグロい食べ物写真集
『世界で一番恐ろしい食べ物』ニール・セッチフィールド 原直子:訳
S.Oさん(長崎県立佐世保西高等学校)

私が今回紹介する本『世界で一番恐ろしい食べ物』の表紙は、サソリです。この本は端的に言うと、世界のグロい食べ物写真集。例えば何が載っていると思いますか? カエル? コオロギ? その通りです! 意外なものだと、スズメや豚の足、衝撃的だったのはヤギの頭! そういうのが材料そのままきれいに写してある本です。
最初に見た時は「ヤバイ!あわわわ!」と思いました。友達に見せても「ムリ!ムリ!」。何がそんなに無理なのかをよく考えてみたら、自分が見たことがない食べ物だからだったんです。自分がもし生まれた時からそれをいつも目にしてきて、普通に食べて育っていたら、写真を見て「うえ~ん!」と言うでしょうか。そこがすごく面白い本だと思い、同時に、私はこれまで偏見を持っていたのではないか、と思うようになりました。
この本には日本人が好きな“納豆”や“海苔”も載っています。外国の人からしたら何が嫌かと言ったら、臭いとネバネバ。海苔だったらなぜ海に漂っている変な黒い物を食べるのか、という感じらしいです。そのような価値観の違いに触れて、すごいなあと思いました。
人間は誰しも栄養が必要。自分が誰でどこに住んでいたとしても、体を正常に機能させるためには、何かしらの栄養が必要です。その栄養を摂ること、すなわち食事も、どこで育っていたか、誰が何を作ってくれたか、まわりの環境によって全然違うのは面白いと思いませんか。同じ食べ物、同じ写真を見て、ある人は「キモい!キモい!」と言うけれど、地球の裏側の自分と違う生活圏に住んでいる人は、「今日はこれ食べたいな」と思うかもしれません。
この本は、私たちが陥りがちな当たり前という価値観を見つめ直す、良いきっかけになるのではと思います。恐々でもいいから手に取って、自分の目で見てみることをおすすめします。
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<全国高等学校ビブリオバトル長崎県大会の発表より>
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mini interview
好きなのは
米澤穂信、有川浩、伊坂幸太郎、柴村仁。ミステリーと青春ものが好きです。
小学生のころ
・「ハリーポッター」。1カ月で全巻読みました。
・あさのあつこの『THE MANZAI』。下校中歩きながら読んでいました。
影響本
あさのあつこの『No.6』を読んで、小説家になりたいと、中学生の時切実に思っていました。こんなふうに話をつくりたいなあと思っていたのをよく覚えています。(今は思っていません。)
これから
読みたい本がたくさんあって困っています。しかし、読む時間がないのが目下の悩みです。最近は新書の類をよく読むようになりました。池上彰さんの書いた本はとてもわかりやすいです。