3億円の使い道は? お金と幸せとはいったい何なのか
『億男』川村元気
関谷勇祐くん(埼玉県立春日部高等学校2年)

作者の川村元気さんは映画プロデューサーです。映画『告白』『悪人』をプロデュースしています。2012年には『世界から猫が消えたなら』という本で書籍デビューをしているんですが、1作目にして本屋大賞にノミネートされています。そして2作目も本屋大賞にノミネートされた『億男』を紹介しましょう。
もしも宝くじで3億円が当たったら何に使いますか。この想像は、誰しも一度はしたことがあると思います。主人公の一男がひょんなことから宝くじの3億円を当て、どう使ったらいいかわからないため、友達の企業の社長であった九十九という男に相談をしに行きます。
しかしその次の日、その3億円は九十九とともに消え去ってしまいます。そこから一男が九十九とともに企業を立ち上げた3人の人たちに話を聞きに行き、お金とは何かを学んでいきます。そしてその3人には、お金を愛することと、お金への恐怖と、お金への信頼を学んでいきます。一男は、いったいお金とは何であるか結論付け、そしてその3億円は本当に返ってくるのか。これがストーリーです。
この本には有名人の名言が出てきます。そしてその名言がその各シーンにとてもマッチしていて、すごく身に染みてわかります。そして、一男が最後に、お金というものをどう結論付けて、そしてその3億円を何に使うのかが、読んでいてどうなるのかとすごくハラハラしました。
お金は身近なもので、何を買うにも何をするにも必要なものですが、しかし、たくさんのお金のある人が本当に幸せなのか、金を持っているからといって幸せになれるのかといったら、それは違うと思います。

「人間には自分たちの意思ではコントロールできないことが3つだけある。死ぬことと、恋することと、そしてお金だ。」という言葉が出てきます。この3つは人間にはコントロールできないと九十九は言っています。そしてこの3つの中でお金だけ少し違う点があるんですね。お金だけ違う点は何なのか。そして、お金がどれほど人間と密接に関わっているのか。なぜ人々はお金を欲しがるのか。
この本を読めば、お金に対する感覚も意思も180度変わると思います。実際、僕は、月5千円のお小遣いをもらっていますが、それがもう月の半分もたたないうちになくなっているんですね。ですが、この本を読んでお金に対する感覚が変わってきたので、月の最後までちゃんと5千円がもつと思います。
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<全国高等学校ビブリオバトル2015 関東大会の発表より>
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関谷くんmini interview
好きなジャンル・作家
ストレートな表現や、読んでいて想像しやすかったり、わかりやすいものが好きです。
小学生の時
怪人二十面相を夢中で読み漁っていたことがあります。休みの日も友達からの誘いをことわって家で読んでました。腹話術のやり取りなどが好きです。
2015年印象に残った本
『6TEEN(シックスティーン)』(石田衣良)
中2の時に読んだ『4TEEN』の続編。16才のうちに読みたいと思って読んだのですが、青春を男と楽しむやり方みたいなものを教えてもらいました。
今後読みたい本
春日部高校の教員もやっていらっしゃった北村薫さんの本を読んでみたい。