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安全を保障するカード!? これを手にしたら人は本当に幸せか

『安全のカード』星新一

大和柊平くん(大阪府立金岡高等学校)

『安全のカード』(新潮文庫刊)
『安全のカード』(新潮文庫刊)

小学生の頃、授業の開始前の30分に本を読もうという時間があり、その時、父に相談したら「お前そうゆうところでちょっとカッコつけた方がええんちゃうか?」と言われて、星新一さんの本をどっさりもらいました。その中のひとつが『安全のカード』というわけです。

 

星新一さんは、母方の親戚に『舞姫』で有名な森鴎外がいます。星新一さんの性格は、あまり人を信用できない、人間不信だったそうです。唯一信用していたのが、この本のイラストを担当している真鍋博さん。真鍋博さんの絵と星新一さんの話が見事にマッチしていて、内容をより引き立たせているのが素晴らしいと思います。

 

裏表紙には、次のように書いてあります。

 

「休日に青年の部屋をおとずれたセールスマン。その男がカバンからとりだしたのは、名刺くらいの大きさの金属製のカードだった。なんとこのカード、絶対的な安全を保障するという不思議なカードだった……。平凡に過ぎてゆく日々。何となくつまらない毎日。そんな時、ショートショートの扉を開いてみませんか」

 

星新一さんといえばショートショートですが、この『安全のカード』はショートショートのなかでは少し長いんです。夢中になって書いていたら、長くなっちゃったそうです。出版社にそれを言うと「仕方ないなあ通してやるよ」みたいなノリで、そのまま突っ切ったそうです。

 

内容は、ある日平凡な男の家にセールスマンが来ます。何か売りつけてくるのかと思いきや、安全のカードを紹介してきます。人間は安全を保障されたら命の大切さがわからなくなってしまう、僕は安全のカードに疑問を覚えました。人は死ぬ時は死ぬし、生きる時は100歳まで生きる人もいる。安全なカードを手に入れることによって、その人は本当に幸せになるのか。そういうことを僕は考えさせられました。

 

大和柊平くん
大和柊平くん

もうひとつ紹介したいのが『頭痛』という話です。主人公の男が占い師に、「人のことを助ける能力がある」と言われます。それは本当に神様みたいな能力でした。自分が知らなかった能力を手に入れたことにより、主人公の生活が一変し、成功し始めます。しかし、副作用も出てきます。そして、どんどんどんどん堕ちていく。幸せなのか幸せじゃないのかわからなくなってきます。ほんとうは、その能力はあまり使ってはいけなかったのですが、占い師はただ教えただけと言い訳するでしょう。神様のような力を手に入れ楽しんで使っていた主人公のように、僕にも能力があれば使いたいと思いました。

 

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2015 大阪大会の発表より>

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