おいしい家庭料理を目当てに、温かい人たちが集う場所
『居酒屋ぼったくり』秋川滝美
内田斗望子さん(滋賀県立玉川高等学校1年)

みなさん、ごはんを食べることは好きですか? 人間の三大欲求の一つですので、面倒くさいということはあっても嫌いっていう人はいないと思います。そして、大人のみなさん、飲むのは好きですか? 私はまだ16歳なので、あと4年は飲んだらダメなんですけど。飲むのが好き、食べるのが好き、という人に特におすすめしたいのが、『居酒屋ぼったくり』という本です。
この本の舞台である、居酒屋の名前は「ぼったくり」といいます。「ぼったくり」を経営しているのは美音(みね)と馨(かおる)という姉妹。何故そんな不気味な店名なのかというと、元は別の店名だったんですが、姉妹のお父さんが、どこでも出せるような家庭料理でお金を払わせるのだから「ぼったくりでいいんだ」って言って、それを聞いていた常連さんが「そんなこと言うんだったら、ぼったくりにしちゃえ!」ってことになって、「ぼったくり」という名前になりました。
私はこの本の中でおいしいご飯が紹介されるところも好きですが、日常の中にあるちょっとした事件、「夏休みの子供の自由研究で困っている」とか、「両親にうなぎを食べさせたいけれど値段が高くなって、こづかいでは難しいと悩んでいる小学生」といったちょっとした悩み事を持った人が、この「ぼったくり」に訪れ、話が展開していくところが好きです。
この作者の秋川滝美さんは、もともとネット小説を書いていらっしゃった方で、最初は『いい加減な夜食』という題名の、やはり食べ物関係の恋愛小説を書いていました。私はこの恋愛小説を読んで、『居酒屋ぼったくり』を知り、面白そうと読み始めました。

小説の中でお酒が紹介されています。出てくるのは実際にあるお酒で、居酒屋ぼったくりのサイトに、製造者の住所や電話番号などが載っていたりするので、大人のみなさんはぜひどうぞ。
東京下町にある小さな居酒屋さん「ぼったくり」。そこには、人の温かさが詰まっています。気になるお方はぶっそうな名前の暖簾をくぐってみてください。
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<全国高等学校ビブリオバトル2015 関西大会の発表より>
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内田さんmini interview
好きなジャンル
ライトノベルやファンタジー小説
小学校の時
『妖怪ナビ・ルナ』シリーズがお気に入りでした。小学5年生の主人公が妖怪と戦ったり、いろいろな出会いや別れを描いていて、私自身も旅をしているようで楽しかったです。
今後読みたい本
外国の翻訳本をいろいろ読んでみたいと思います。