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校舎に閉じ込められた10人のクラスメイトの運命は・・・

『暗黒学校』二宮敦人

鈴木愛乃さん(三重県立宇治山田商業高等学校)

『暗黒学校』(アルファポリス)
『暗黒学校』(アルファポリス)

主人公ユウタと9人のクラスメイトはある日、大きな揺れで気絶してしまい、目を覚ますと平凡な日常が一転、校舎全体が堅い岩で覆われていました。原因不明の状況下で、脱出する方法も見当たらない、太陽の光もなく、携帯の電波も通じない。そんな中で繰り広げられる彼らのサバイバル生活が描かれた物語です。

 

自分がもし閉じ込められて携帯の電波通じないとなったら…。Twitterが見られないでしょ、ネットが見られないでしょ、LINEができないでしょ、さらにYouTubeも見られない。ということで私は気絶しているかもしれません。

 

さて、この本には登場人物が10人いて、それぞれの人間味が出ていて、さらに予想もできない展開があります。

 

閉じ込められているのがみなさんだとします。みなさんの前に一つのパンがありますが、食料はそのパンだけです。ではもし、そのパンがカビてたらどうしますか? 食べる人もいれば食べない人もいるでしょう。工夫して食べようという人もいると思います。みなさんそれぞれの考えがあるように、登場人物たちにも様々な考えがあります。自分に合った登場人物をみなさんも見つけることができると思います。

 

例えば、私が一番面白かった登場人物はサクくんというミステリアスな子です。なぜ閉じ込められたのか考えたとき、みんなはいろいろと現実的な考えを出すんですが、サクくんは「ここは地球じゃない」って言うんですよ。地球じゃなかったらどこなんだ? って思うんですけど、地球じゃないって言っている時点でこいつはすごいなって、第一印象を持ちました。サクくんは面白いだけでなく、物語のキーとなる登場人物でもあります。

 

また、みんなで集団行動をしているのですが、限られた食糧の3分の1を取って逃げちゃう女の子もいます。護身用ナイフを持ってきて、怖いな、こいつも悪いやつだなって思ったのですが、物語を読むにつれていい人だというのがわかってきて、「ごめんなさい」って謝りました。そんなふうに謝ってしまうほど、本当に予想外な展開が多いのです。

 

なかなか本を読まない私でも最後まで楽しく読めたので、ぜひ皆さんも読んでみてください。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2015 三重大会の発表より>