焼き鳥にひざまずく!? イギリス人が発掘する日本食の魅力
『英国一家、日本を食べる』マイケル・ブース 寺西のぶ子:訳
小林美友さん(石川県立金沢錦丘高等学校1年)

タイトルの「日本」とは日本料理のことです。著者のマイケル・ブースさんは最初、日本料理のことを「味気ない」「見た目だけ」「他の国から盗んだ料理だ」「醤油に漬け込んだだけで全部同じ味じゃないか」と、厳しく評価しています。私も、この本を読むまでは、そうであると認めざるを得ませんでした。しかしこの本を読んだ後、私は、いかに自分の国の料理を理解していなかったか、特に自分は好き嫌いが多いのでどれだけ自分の人生を無駄にしていたかということがよくわかりました。
マイケルさんはイギリス人で職業はフードジャーナリスト。友人からもらった一冊の本がきっかけで日本料理を調べはじめます。その本は30年以上前に書かかれた日本食の本なので、今の日本料理はどうなっているのか、それを調べるためにマイケルさんは日本にやってきたのです。タイトルにある通り、家族を連れて。
マイケルさんはこの本の中で様々な日本料理と出会います。普通この手の本なら、最近世界遺産で登録されたような和食や、ミシュランで星を取ったようなグルメが載っていると想像すると思います。しかし、この本には、私たちにとってあまり身近ではない懐石料理等の高級なものに限らず、身近な、例えばたこ焼きや焼きそばなど、様々なものが紹介されています。食の魅力というのは、高いものだけではなくて、身近なものや安いものにもあるんだなと感じました。
中でも特に私がお気に入りなのは焼き鳥です。日本の焼き鳥に似たものは世界中にあります。串焼き料理ですから、例えばケバブとかバーベキューとか。それなのになぜ、マイケルさんは日本食の焼き鳥を気に入ったのか。
それは焼き鳥が一口大であること。そして焦げ過ぎず、焼け過ぎずのバランスを一口大であるため実現しているということ。そして最後に甘いタレのパワーです。そのパワーこそマイケルさんは一番評価。「ひざまずくしかない」と言うほど絶賛しています。さらに、焼き鳥のタレのパワーのことを「この甘い焼き鳥のタレは、自分の子どもたちに嫌いな野菜を食べさせるのには、麻酔注射を使うよりいい方法だ」と、私たち日本人にはとても言えないようなジョークで評価しました。

この本はただのグルメ本ではありません。それは前述した通り、家族と共に来ているからです。家族の目を通して見た日本や日本食を紹介しているからこそ、温かく味わい深く感じるのかと思います。私たちが気づかない日本料理の魅力も書かれています。私はこの本を読んで、本当に好きな食べ物が増えて、今までより日本料理が好きになりました。
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<全国高等学校ビブリオバトル2015全国大会の発表より>
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小林さんmini interview
好きなのは
好きなジャンルは、ミステリー、アドベンチャー、ノンフィクション。作家は、和田竜、はやみねかおる。
小学時代
小学4年生のころ、学校の図書室にバーコードリーダーが設置され、その仕組みをあばくために通っていたら、いつのまにか本を好きになっていました。
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これから
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