早稲田の銀縁くん、東大の補欠選手…。最後は涙の東京六大学野球物語。
『6 シックス』早見和真
岩島利希くん(滋賀県立伊吹高等学校2年)

「さぁピッチャー振りかぶって投げました。ストライーク!バッターアウト!ゲームセット!」というのを夢見て、僕は小学校、中学校とずっと野球をやっていました。が、今ではこの長い髪の毛。中学校で野球を卒業してしまいました。それでも僕は今でも大の野球ファンです。
Baseballは18世紀につくられたスポーツです。日本では、明治の教育者、中馬庚(ちゅうまんかなえ)が「野球」という言葉を作ったのだそうです。そんな野球は日本で一番人気のスポーツだ、と思っていたのですが、昨年のスポーツ競技人口ランキングを見てみると1位ウォーキング2000万人、2位ボーリング1900万人、サッカーが750万人、そして野球は730万人とサッカーに超されてしまったのです。
このように野球離れが続く中、それを解消できるのが『6シックス』という作品。舞台となるのは東京六大学野球です。東京六大学野球といわれても、僕のような野球ファンでも地方に住んでいるとあまり縁がありません。だから小説の舞台にするのもなかなか珍しいのではないかなと思ってこの本を読んでみました。
僕が想像していたのは、熱血とか、青春とか、汗水流してみたいなそんなガッツリした野球小説ですが、違っていました。野球がテーマではあるものの、就活とかミスコンとかバラエティーに富んだ話が詰まった短編集になっています。ですから、野球に興味ねえとか野球に詳しくないという方でも気軽に読むことができます。
『6シックス』に登場する重要な人物は、星隼人という早稲田のエースピッチャー。彼は、今プロ野球で活躍している斎藤佑樹投手をモデルにしています。斎藤佑樹投手にはハンカチ王子というニックネームがあるのに対し、星隼人には銀縁眼鏡をかけているから銀縁くんというあだ名がついています。
僕が一番印象に残ったのは、この銀縁くんと対戦するために東大に入った東大の補欠選手の話です。彼は、高校生の時に甲子園で活躍しながらもプロ野球には行かず大学で野球を続けることを決めた銀縁くんを倒すために、一番レギュラーになれそうな東京大学を目指したのです。そのために1日17時間猛勉強をします。1日17時間なんて、僕には到底無理な話ですけれども、この彼はそれをやり遂げて見事東大に合格しました。合格した後東京大学で野球を続け銀縁くんと対戦できるのか。それはこの本を読んでみてください。

この作品に登場する人物はほとんど、それぞれの目標を持ち努力をしています。努力することはとても素晴らしいことです。そして、何か目標を持って突き進むのはとても大事なことだと思いました。
そんな『6シックス』ですが、最後は泣きました。
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<全国高等学校ビブリオバトル2015 全国大会の発表より>
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