みんなのおススメ

もしブタが食べられることを望んでいたら…。非現実なifを考えてみよう

『100の思考実験:あなたはどこまで考えられるか』ジュリアン・バジーニ  向井和美:訳

瀧孝輔くん(東京・足立学園高等学校2年

『100の思考実験:あなたはどこまで考えられるか』(紀伊国屋書店)
『100の思考実験:あなたはどこまで考えられるか』(紀伊国屋書店)

思考実験とは、頭の中だけで行う実験。でも、これが、何かものを考えたりしたりする際の手助けになります。

 

本書は新書ですが、他と比べて読みやすくなるような工夫がたくさんされています。例えば、一つの話が大体2から3ページくらいで読み終わるという短さ。一つの話について、まず思考実験が出てきて、それに対して作者の軽い解説がある。それを踏まえた上で皆さんはどのようなことを考えますかと尋ねてくる内容になっています。ですから、ちょっとした時間を見つけて、好きな所をパッと開いて読むということもできます。新書だからといって敬遠しないで、気軽な気持ちで手にとっていただければと思います。

 

さて、人は日々、いろんなことを考えています。今日は何時に着かなきゃいけないから、どの電車に乗って行こうとか。また、身近なこと、例えば自分自身や家族のことだったり。はたまた、平等だとか、環境問題だったり。そういう身近なことにも、自分たちが気付いていないだけで、たくさんの局面があると、本書に気付かされました。それらについてよく考えていく中で、自分の価値観というのも根底からひっくり返されたような、何とも言えない感覚、刺激がこの本にはあります。

 

例えば、環境問題。汚い空気を出さなければ大気汚染は解決すると考える人は多いでしょう。しかし逆に汚い空気を大量に出しまくるのが環境問題の解決につながるのではないかと思考実験をしています。ダラダラ産業を開発させていき、ある時に環境問題が手遅れの状況になってしまう。そういうことを防ぐために先に産業というのをドーンと開発させてから、みんなで一致団結して環境問題を解決しようとしたほうがいいのではないかという思考実験です。

  

瀧孝輔くん
瀧孝輔くん

また、生物を殺して食べるというのは遺憾なことだと考えるベジタリアンの話。でも逆に、ブタがもし食べられることを望んでいたら…。そういう生命のことについて考えさせられる思考実験も載っていました。

 

この本には100テーマの様々な思考実験が収録されています。ぜひこの本でしか味わうことのできない刺激を楽しんでみてください。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2015 関東大会の発表より>

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岡田光世 (文春文庫)

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好きなのは

いろいろなジャンルを読みますが、しいていえばエッセイが好きです。好きな作家は、岡田光世。

 


小学時代

小学校低学年の時に読んだ『チョコレート戦争』(大石真)が気に入っています。小学生何人かがケーキ屋に逆襲する話でわくわくしました。

 


影響を受けた本

『もしも世界が100人の村だったら』池田 香代子

世界の様子がわかり易く書いてあり、心の奥をずんと突かれるところもあります。国際関係に興味を持つようになりました。

 


印象に残った映画2015

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』

天才数学者アラン・チューリングの物語。アカデミー賞にノミネートされ興味を持ちました。メッセージ性が強く、いろいろなことを考えさせられました。

 


今後読みたい本

映画が好きなので、映画の原作になっている本を読みたいと思います。