トビタテ生のヤリタイコト日記

~こんな本が僕たちの背中を押してくれた

下山明彦くん東京大学文科I類2年)

第3回 フィリピンレポート

選挙の日は、黄色い服で出歩くな ~フィリピン大統領選

フィリピン大統領選のポスター。中央・最上段のポスターが、今回話題のドュテルテ氏
フィリピン大統領選のポスター。中央・最上段のポスターが、今回話題のドュテルテ氏

「そういえば来週は選挙なんだよね」と気軽にフィリピン人の友人に話しかけた時、真顔で返ってきたのが表題のフレーズ「選挙の日は、黄色い服で出歩くな」です。

 

その時はさして気に留めなかったのですが、街に出てその答えが分かりました。黄色い服に身を包んだ人から、黄色いリストバンドを手渡されたのです。それは副大統領選の候補者のイメージカラー。であれば、選挙当日、黄色い服を着ていることは、特定候補の支持を高らかにうたっているようなもの。それはいらぬトラブルを呼びかねず、そこまで選挙戦は過熱しているのです。

 

他にも、日本では考えられないようなルールがありました。例えばアルコール販売の禁止。選挙の前日と当日は、スーパーやモールからお酒が一斉に消えます。もちろんこっそり販売する店も数知れず。今年も逮捕者が続出しました。なぜそこまで厳格に取り締まるのかというと、加熱する選挙にさらにお酒が絡むと事件が起きやすいからだとか。今年も実際に、投票所で妨害のための殺人事件が起こるなど、驚くほどの混乱ぶりでした。その危険性は、海外安全情報を取り扱う外務省のホームページでも大統領選挙に伴う注意喚起があったほどでした。

 

そんな中、選挙の結果はどうなったのか。フィリピンの友達が口をそろえるのは、次期大統領となるドュテルテ氏の「規格外」ぶりでした。「麻薬密売人は全員殺す」といった刺激的な物言いは「フィリピンのトランプ氏」とも。暴言にも近い数々の発言は、様々に物議をかもしましたが、結局、賛否両論が渦巻く中で当選を果たしました。

 

なぜ有権者は彼を選んだのでしょう。返ってくるのは「国民の関心事を、最も劇的に変えてくれそうだから」という答えでした。

 

1988年からダバオ市長を務めたドュテルテ氏は、犯罪撲滅のためにあらゆる施策を打ちました。彼の私設警察と言われるダバオデスクワットは、麻薬の密売人や凶悪犯を躊躇なく射殺してきたと言われています。その姿勢は国内外から批判を受けることもありましたししかし、劇的に好転した治安は、彼の支持率の源泉となりました。麻薬の密売などによる治安悪化を問題視する国民は、彼がその業績を国レベルでも実現することに期待して票を投じたようです。

 

超大国アメリカでも、今、過激な物言いのトランプ氏が大統領の座に王手を掛けようとしています。彼のパワーの源泉は、有権者が抱く閉塞感であったり不安であったり。フィリピンでの構図に似ていますよね。そんな「乱暴なカリスマ」が日本でも生まれるのでしょうか。18歳選挙権が初めて導入される今度の参院選は僕にとっても初めての投票権の行使。みなさんも一緒に注視していきましょう。

今回のオススメ

『当確師』真山仁 (中央公論新社)

「99%投票させる」と豪語することから「当確師」と呼ばれる選挙コンサルの主人公。舞台となるのは政令指定都市の市長選。三選確実と言われる現市長を相手取り、候補者探しから始める主人公の権謀術数は、人間の欲望をまざまざと見せつけてくれ、日常生活からは縁遠い選挙を身近なものにしてくれるはずです。

[出版社のサイトへ]

 

つづく

第4回 トビタテ留学JAPANって何? 

~本気のヤリタイコトを、社会総がかりで応援する「トビタテ留学JAPAN日本代表プログラム」

 

<前回の記事を読む>

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第2回 今この瞬間に一生懸命打ち込みたいことを、全力で

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