トビタテ生のヤリタイコト日記

~こんな本が僕たちの背中を押してくれた

下山明彦くん東京大学文科I類2年)

第18回 日本で介護士として働くには壁がある

フィリピンの日本語学校で、僕の同僚として日本語を教えているダンテ先生。彼もまた、日本での出稼ぎを目指しています。

 

「ケアギバー」という言葉を耳にしたことはありますか。「Care Giver」。日本でいう介護士のような職業で、一人暮らしだったり、家族だけの介護では暮らすことが難しいお年寄りたちに、介護サービスを提供します。ダンテさんもその一人として、日本へ出稼ぎをすることを目指しています。

 

すでに生徒に日本語を教え、僕との会話もよどみないほど流暢に話せる彼。フィリピンの大学で日本語4年間学んできた経験を持つ彼は、文法も発音もしっかりしています。でも、日本で働くには大きな壁が厳然としてあるといいます。

 

「この介護士資格を取る人向けに書かれた教科書、漢字が多すぎて難しい」と首を振るのです。見ると、確かに難解な介護用語がふりがななしで載っているうえ、文章も日本人でも理解するには時間がかかりそうです。これでは、日本語が母国語でない人には確かに難解すぎるでしょう。

 

国の統計や報告書には、最近は試験の問題文にふりがなが掲載されるなどと、多少の改善はあるとされています。しかし、将来の超高齢社会に向け、介護に従事する外国人労働者の受け入れが不可欠な今、門戸を広げるのに十分な変化とは言えないと思うのです。

 

僕が高校のディベート部だった頃に、日本は外国人労働者を受け入れるべきか否かというテーマについて半年間リサーチをしたことがあります。その頃の経験とも相まって、日本の需要と外国の供給のミスマッチや介護を取り巻く環境の不遇さを痛感しました。高校の頃はあくまでも書籍や論文、新聞から得たデータを集めて理論を構築することしかしていません。いわばそれは試合に勝つための研究。実際に外国人労働者がどう思うのか、その生の声を聞くことはまた違った経験になりました。

 

ここまで書いてきた話はもちろん、一介の大学生が考えていることに過ぎません。国の施策を動かしていらっしゃるプロからみれば、「何を見当違いのことを言っているんだ」と思われることもあるでしょう。

 

それでも、海外での暮らしから問題意識を抱き、日本に想いを馳せる、その行為は悪いことだとは思いませんし、トビタテ留学JAPANがあったからこそのものです。だからこそ、一人でも多くの若者が「トビタテ」を知り、そのドアをノックしてくれることを望むのです。その門戸も今や高校生まで広がり、募集人数もこれから増やしていく方針です。トビタテ留学JAPANの高校生コースは第3期の募集が始まっています。ぜひチャレンジしてみてください。

 

[トビタテ!留学Japan 高校生コースに関するサイト]

http://www.tobitate.mext.go.jp/hs/

 

今回のおススメ本

『読書は格闘技』

瀧本哲史(集英社)

「名前は聞いたことあるけど、読んだことない」「読んだけど、何が書いてあったのかよく覚えてない」。。。本の名前が挙がった時、こういう思いに駆られる人も少なくないのではないでしょうか。そのような人にぴったりなのがこの本。「良書と格闘する」プロセスを通して、いかに本を自分の糧とするのか。2冊の本を同時に紹介する独特の書評を通して読者に語りかけてくれます。

[出版社のサイトへ]

<前回の記事を読む>

第17回 出稼ぎ、日本人男性との結婚。日本語を習うフィリピン人

第16回 セブでの日本語指導ボランティア

第15回 スラムの人々に労働や協働の意義を教えて自立を目指すフィリピンのNGO

第14回 「なぜ『こんな人』が国のトップになったのか」と言うのはたやすいけれど~CNNフィリピン支局訪問

第13回 フィリピン人の先生からスカイプで英会話を学ぶ

~フィリピンも日本もHappyになるビジネスの創業者に聞く

第12回 フィリピン・マニラのスラム街 「厳しい環境の中でも笑顔」の陰にある現実を見た

第11回 フィリピンの学生の一言から考えたこと

~都市は発達しても教育には課題も

第10回 新興国でのボランティアで学んでいること

~共感も違和感も含めて自分を変えてくれる

第9回 トビタテに合格するために その4

個人面接グループディスカッション

第8回 トビタテに合格するために その3

応募書類をめぐって~留学計画書作成のコツ

第7回 トビタテに合格するために その2 

いちばん大事なのは募集要項を読むこと

第6回 トビタテに合格するために

~「ヤリタイコト」をとことん考え、わかってもらうためにすべきこと!

第5回 一過性の「援助」ではなく、自立に結び付くコミュニティづくりを目指してフィリピンで奮闘 ~トビタテ生の挑戦 その2 大野雛子さん(東洋大学文学部3年)

第4回 トビタテ留学JAPANって何? 

~本気のヤリタイコトを、社会総がかりで応援する「トビタテ留学JAPAN日本代表プログラム」 

第3回 フィリピンレポート 

選挙の日は、黄色い服で出歩くな ~フィリピン大統領選 

第2回 今この瞬間に一生懸命打ち込みたいことを、全力で

~高校時代から変わらなかったその姿勢。トビタテ留学JAPANを起業への第一歩に 

第1回 「勇ましい、高尚なる生涯こそが後世への最大遺物である」

~内村鑑三の言葉に後押しされて、留学を決意