トビタテ生のヤリタイコト日記

~こんな本が僕たちの背中を押してくれた

下山明彦くん東京大学文科I類2年)

第21回 ヴィパッサナー瞑想(3)煩悩と蚊とカレー攻めに苦しんだ10日間を経て得られたものは…

参加者のスウェーデン人やインド人の方々と最後に記念写真を撮りました!
参加者のスウェーデン人やインド人の方々と最後に記念写真を撮りました!

最後は少しぶっちゃけた、実際に瞑想を10日間もやってきてどうだったのかという話をしたいと思います。

 

正直、めちゃくちゃキツかったです。全く話すことのない、紙に何かを書きとめることもできない10日間。考えること自体は禁止されているものの(瞑想中は身体の感覚を意識し続けることに集中しなければならないからです)、やはりいろいろなことが頭を駆け巡ってしまいます。それを振り払い、瞑想に没頭しようとする日々でした。

 

一番大変だったのは4日目と6日目です。日中は、煩悩を振り払い瞑想に集中しようとしていたためか、いざベッドに横になってから将来のことや最近感じることなどが頭の中でいっぱいになってしまい、寝付くことができず夜が明けてしまいました。

 

もちろんその後のコンディションは最悪で、瞑想中に寝てしまう羽目に。もちろん先生に見つかり、「帰る?」と強く怒られてしまいました。他にも食事は毎日カレー、かつ、夜ごはん抜きです。「インド人は毎日カレーを手で食べるんでしょ?」とインドに行く前にいろんな人から言われ、半信半疑でしたが、本当でした(笑)。

 

さらに朝4時起床の生活リズム、南京虫や蚊に噛まれる(しかも不殺生の戒律があるので抵抗できず…)などの諸問題に苦しみ、なかなか大変な10日間ではありました。

 

意識と感覚・感情を分離するとは

とは言いつつ、得られるものはもちろんたくさんありました。まず、心を平静に保つことがささやかながら(本当にちょっとだけではありますが)できるようになったことです。自分の心のありよう、「あ、僕は今怒っている」とか「辛いと思っているぞ」みたいな感情を客観的に見つめることは、日常生活にも活かせると思います。

 

実際に、意識と感覚や感情を分離する、というのは瞑想によって可能になるらしく、瞑想の修行を行っている人は、そうでない人に比べて痛みを感じにくいという研究結果もあるそうです。自分は全くその域には達していませんが、なんとなく納得できるのも事実でした。ようやくその入り口に達することができたのかもしれません。

 

あと、少し卑近な例で言うと、集中力がついたこと。普段何かをする際もそこにきちっと心を向けることができたような気がします。今、インドの学校では、瞑想法を集中力アップのトレーニングとして取り入れようとしているところだそうです。

 

大変ではありましたが、学ぶところも多かったヴィパッサナー瞑想。全員にお勧めできるほど手軽なものでもありませんが、少し心惹かれるものがあったなら思い切ってトライしてみるのもいいかもしれません。

 

今回のおススメ本

『初学者のための建築学入門』

笹川和郎(鹿島出版会)

建築を構成する三大要素という基本のキに触れるところから始まり、歴史的建築から現代の建築の構造を概観し、法整備などにも言及する。建築に関して全く知識の無い人への一年間の講義というテーマで書かれたこの本は、街で出会う建築への目も変えてくれるかもしれません。

 

つづく

 

<前回の記事を読む>

第20回 ヴィパッサナー瞑想(2)いよいよ瞑想体験! 「ブッダの教えを身体を通して理解する」とは…?

第19回 ヴィパッサナー瞑想(1)~インドで10日の瞑想体験

第18回 日本で介護士として働くには壁がある

第17回 出稼ぎ、日本人男性との結婚。日本語を習うフィリピン人

第16回 セブでの日本語指導ボランティア

第15回 スラムの人々に労働や協働の意義を教えて自立を目指すフィリピンのNGO

第14回 「なぜ『こんな人』が国のトップになったのか」と言うのはたやすいけれど~CNNフィリピン支局訪問

第13回 フィリピン人の先生からスカイプで英会話を学ぶ

~フィリピンも日本もHappyになるビジネスの創業者に聞く

第12回 フィリピン・マニラのスラム街 「厳しい環境の中でも笑顔」の陰にある現実を見た

第11回 フィリピンの学生の一言から考えたこと

~都市は発達しても教育には課題も

第10回 新興国でのボランティアで学んでいること

~共感も違和感も含めて自分を変えてくれる

第9回 トビタテに合格するために その4

個人面接グループディスカッション

第8回 トビタテに合格するために その3

応募書類をめぐって~留学計画書作成のコツ

第7回 トビタテに合格するために その2 

いちばん大事なのは募集要項を読むこと

第6回 トビタテに合格するために

~「ヤリタイコト」をとことん考え、わかってもらうためにすべきこと!

第5回 一過性の「援助」ではなく、自立に結び付くコミュニティづくりを目指してフィリピンで奮闘 ~トビタテ生の挑戦 その2 大野雛子さん(東洋大学文学部3年)

第4回 トビタテ留学JAPANって何? 

~本気のヤリタイコトを、社会総がかりで応援する「トビタテ留学JAPAN日本代表プログラム」 

第3回 フィリピンレポート 

選挙の日は、黄色い服で出歩くな ~フィリピン大統領選 

第2回 今この瞬間に一生懸命打ち込みたいことを、全力で

~高校時代から変わらなかったその姿勢。トビタテ留学JAPANを起業への第一歩に 

第1回 「勇ましい、高尚なる生涯こそが後世への最大遺物である」

~内村鑑三の言葉に後押しされて、留学を決意