高校ビブリオバトル2016
最悪な担任が人質。運命は2000ピースのパズルに
『パズル』山田悠介
大城海輝くん(沖縄県立那覇西高校1年)

とても頭のいい学校があって、その中でも特に優れた特別クラスがあり、そのクラスが謎の武装集団に占拠されてしまいます。クラスの担任が人質に取られ、人質を解放する条件が、学校に2000ピースのパズルを隠すので、それを48時間以内に見つけて完成させて、犯人たちに提出するということ。できなければ担任は殺されてしまいます。ゲームに参加するかしないかは、生徒たちの自由です。
学校といえば、必ず一度は行ったことのあるところで、自分たちの身近な場所。だから、この本の中の主人公たちを自分と置き換えながら話を読み進めていくことができます。
普通なら担任を助けるためにゲームに参加する。と言いたいところですが、この担任は生徒を成績でしか判断しない、とても悪い教師なんです。頭のいい生徒はひいきするし、逆に頭の悪い、成績の悪い生徒には、クラスの平均が下がったら担任の評価が落ちるから学校をやめろと言ったりするんですね。そんなひどい教師を果たして助けたいと思いますか。私だったら助けないかもしれないなと思いました。
この本の一番の魅力は、なぜ犯人たちが人質を解放するための条件をパズルにしたのか、というところ。なぜパズルにしたのか明確な答えは出てきませんが、自分なりの考えとしては、犯人はこのクラスに復讐という目的でパズルを探すということをしているわけです。なぜ復讐とパズルが関係あるのか。パズルは同じ形のピースは存在せず、必ず違う一個一個のピースが連なって一つの絵ができるんですね。それは私たち人間と同じで、人間も同じ人はいません。必ずみんな個性があって、それを尊重し合いながら生きていっているわけですけど、この本の中では、成績で決まってしまうのです。

実際のジグソーパズルでも少しでもやると、最後まで完成させたくなりますよね。この本もそれと同じで、少しでも読むと、この物語の重要なキーワードなどが一個一個頭に入っていく感じで、読み進めていく中で、頭の中で完成していく感じがします。
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<全国高等学校ビブリオバトル2016 全国大会の発表より>
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