高校ビブリオバトル2016
世界の見方、日本の見方が変わる、そして旅に出たくなる
『世界を知るために旅に出たら日本を知る旅だった 世界一周1000人ヘアカット』桑原 淳
渕本麻菜美さん(群馬県立伊勢崎商業高校2年)

著者である桑原淳さんがハサミ一本を持って世界一周の旅に出るという、なんともまぁ無茶ぶりなお話ですが、もちろんタイトル通り世界を知ることもできますし、日本を知ることもできる、お得感満載な一冊です。
私たちは、ステレオタイプで、つまり、たくさん要素があるのにたった一つの要素で物事をみてイメージを作りますよね。例えば、アフリカと聞くと、ジャングル、砂漠、紛争といったイメージを持つかと思います。けれども、アフリカのケニアはスマホ普及率世界一位。あのマサイ族も今はスマホを使って生活しているというなんとも驚きな話です。
桑原さんは、例えば、今日本とちょっとギクシャクしている国、中国や韓国に行き、日本にいるとき思っていたこの国のイメージとは全く違うということに気付きます。私もこの本に触れるまでその国はこうだ!とステレオタイプで思っていたことがなくなりました。
この本には、カンボジアの少年が出てきます。その少年は地雷のせいで足がありません。その少年が将来の夢について桑原さんに一生懸命説明します。その少年が訴えた言葉をぜひ読んでください。思わず涙がこぼれました。
面白い話も出てきます。アルゼンチンでは、あることを一つできるだけでモテ男になれるそうです。身長が高い、性格が良い、頭が良いなどがモテる要素と思いますが、アルゼンチンではあること、たった一つだけなんです。その真相は本でどうぞ。
また、桑原さんは「日本は危険な国だ」と言われたことがあるそうです。でも、日本のどこが危険なのでしょう。世界で一番平和だと言われているのではないでしょうか。その真相も書いてあります。そういうことだったのかと納得できます。
この本を読んで、私の人生が変わりました。まず、旅に出たくなりました。去年の夏休みには、住んでいる群馬県から、九州にひとり旅に出掛けようと計画までしたくらいです。そのくらい、どこか違う場所に行ってみたいと思わせる本なのです。
世界を知ることができる。日本を知ることができる。それはイコール世界の見方が変わることです。日本の見方も変わります。そして、読んだ人たちの人生も変わります。
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<全国高等学校ビブリオバトル2016 全国大会の発表より>
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