高校ビブリオバトル2016

中国やロシア、アメリカの動きを地理的条件から理解する!

『図解地政学入門』高橋洋一

安部健太くん(大分県立別府翔青高校2年)

『図解地政学入門』(あさ出版)
『図解地政学入門』(あさ出版)

なぜ中国は近海に船を出して各諸島に基地を作りたがるのか。なぜ広大なロシアが小さなクリミア半島にこだわったのか。ヨーロッパにはたくさんの小さな国が集まっており、少し前まで戦争し合っていたにも関わらず、なぜ現在では共同体を形成しているのか。アメリカは経済面や軍事面で最強であり、世界の警察官であることを主張しつつ、なぜ最近になってその地位を退こうとしているのか。また、その中で日本がどう立ち回ればよいのか…。

 

このような疑問を解決する一つの視点として、地政学というものがあります。僕が紹介する『図解 地政学入門』では、地政学の上澄み部分を勉強しつつ、読み終わったあとには世界のニュースもわかってしまうような一冊です。

 

この本によると、地政学とは「地理的な条件が、一国の政治や軍事、経済に与える影響を考えること」とされています。

 

たとえば、お隣の韓国は「中国大好き」や「アメリカ大好き」など、結局どちらに寄っているのか明確ではない姿勢を示していますが、地政学的に考えると、韓国という国は、ユーラシア大陸の端にある朝鮮半島に位置しているため、中国側とアメリカ側に板挟みされ、どちらに付くか迷ってしまっているのです。また、先ほど述べたロシアについて地政学的に考えると、ロシアはものすごく広大な国土を持ちながら、そのほんどがとても気温が低いという地理的条件のせいで農業や漁業が立ち行かないため、南部のクリミア半島に進出したのです。

 

安部健太くん
安部健太くん

このように、この本では世界を中国・ロシア・ヨーロッパ・アメリカの4つに分けて、各地域の性格が形成された経緯を地政学的な視点で解説していきます。図解ですので、もちろん地図や関係図、グラフや年表などが含まれており、小学校から高校までの社会科の内容がほとんどです。学生の方には最近習った知識を活かして、社会人の方は学生時代の知識を掘り起こして、読んでいただけたらと思います。本というと小説に偏りがちですが、本書にも挑戦してみて、グローバルな思考を養ってみてはいかがでしょうか。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2016 全国大会の発表より>

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