高校ビブリオバトル2016

哲学は難しくない!ニーチェに学び、めざせ超人!

『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』原田まりる

谷澤花梨さん(大阪府立日根野高校2年)

『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』(ダイヤモンド社)
『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』(ダイヤモンド社)

ふだん目にしているものや耳にしているものを、一度立ち止まってもう一回見つめ直す。人はなぜ生きているのかを考え直す。哲学というのはそういった学問のことです。哲学がテーマの本というと少し難しそうに聞こえますが、決してそんなことはありません。

 

この本は小説形式の哲学入門書です。主人公は京都に住む女子高校生、17歳の児嶋アリサ。アリサは、縁切り神社と呼ばれるパワースポットの安井金毘羅宮で良縁を祈りました。すると現代に存在するはずのない歴史上の哲学者ニーチェが現れて、アリサに向かって「おまえを哲学の超人にする」と言い出します。そしてニーチェの紹介のもと、アリサは歴史上の哲学者6人に会って話を聞いていきます。その過程で徐々に哲学を知り、アリサが超人へと近づいていく話です。

 

この本は厚い上に哲学の話ですが、たいへん読みやすいのが、お薦めするポイントの一つ。なぜなら半分以上が会話文で構成されているから。例えばLINEをイメージしてください。活字がぎっしり並んでいるのと違って簡単に読めますよね。あまり触れる機会がない哲学の話をとても手軽に読むことができて、その上すてきな言葉に出会える。それがこの本の最大の魅力です。

 

2つ目のポイントは独特の表現が多用されているところです。具体例を一つ出すと、この本にはキルケゴールという北欧の哲学者が出てきます。憂愁のセンチメンタルな雰囲気の彼をこの本の作者が表現すると「デンマークの尾崎豊」。こういったなかなか他にはない表現がたくさんちりばめられています。

 

谷澤花梨さん
谷澤花梨さん

この本に出てくる哲学者の言葉を引用したいと思います。ショーペンハウアーという哲学者の言葉で、「運命がトランプのカードをシャッフルし、われわれが勝負する」。つまり、生まれ持った容姿だとか親の地位といった、運命によって配られた自分の手札は変えることはできません。しかしその手札を使ってどのように戦っていくのか、それはあなた次第なのだから、というとてもかっこいい言葉です。

 

私の紹介によって、皆さんにはこの本を読むという手札が配られたことになります。ぜひこの手札を使って勝負してもらいたいと思います。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2016 全国大会の発表より>

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『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のことを教えてくれた。』

全国大会に出させていただいた本であり、大好きな方の本であり、心に響きまくった本です。(大会後、原田先生よりツイッターでリプライをいただいて天にも昇る気持ちです…!!) 

 

今回ビブリオバトルで発表した原田まりる先生が次回作を書いてくださることを期待しています。