高校ビブリオバトル2016
人生がケーキなら、生き方はデコレーション次第
『苦難の乗り越え方』江原啓之
山内創太くん(静岡・浜松市立高校2年)

「驚いた」「嬉しい」という感情は、とても心に影響します。そうした「心」に対する考え方を使って、どうすれば人生は楽しく過ごせるだろうか考えた人がいます。それが本書の著者、江原啓之さんです。
僕は中学生から剣道を始めました。剣道には昇段審査があり、僕はそれに何度も挑んでその度に落ち続け、とても落ち込んでいました。そんな中、僕の母親が差し出してくれたのがこの本でした。これを読んで、僕は高校でも剣道を続けよう、そして審査に合格しようと思い、何とか合格することができました。
この本は、第一章では「苦難をどう捉えるか」、第二章では「苦難の具体例」、第三章では「逃げか卒業かの見極め方」について書かれています。逃げと卒業というのは、苦難に直面した時の対処方法です。悪い方向に対処してしまったら逃げ、いい方向に対処できたら卒業という意味です。僕の場合は、「もう剣道をやめようかな」と思うのは逃げですが、「高校でも剣道を頑張って合格した」というのは卒業に値します。
このような逃げと卒業の例がたくさん書かれています。僕が一番印象に残っているのが、容姿についての話です。自分の顔や体で気に入らない部分がある人もいると思います。そういう人は逃げずに鏡を真っ直ぐ見てください。そして、自分と向き合ってみてください。そうする中で、女子なら何とかメイクで誤魔化せないか、男子なら自分の欠点を肯定できないか、などと考えられると思います。僕の場合「眉毛濃くない?」と言われることがあります。しかし、眉毛濃くても書道の『払い』みたいでかっこいいんじゃないかと思えてきたのです。このように、自分の欠点を少しでも肯定できたら、それは卒業のサインであると言えます。この他にも、失恋してしまったときや、努力しても実らなかったときなど、たくさんの場合が書かれています。
この本には、様々な例えが使われています。例えば、人生をケーキに例えると、生まれ持ったものがスポンジ、生き方がデコレーションです。どんなにスポンジが良くても、デコレーションが失敗すればケーキが不味くなってしまうように、人生では良くも悪くも変わってしまうということが表されています。

僕はこの本を読んで、物事を少しポジティブに考えられるようになりました。もしこの本に出会っていなければ、高校では剣道を続けていなかっただろうし、何事からも逃げていたかもしれません。この本を読めば、苦難という言葉の印象ががらりと変わると思います。まるで苦難というものが自分自身へのプレゼントのように感じ、毎日が楽しく充実させられると思います。
<全国高等学校ビブリオバトル2016 全国大会の発表より>
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山内くんmini interview

中学生のときに「本を読めば国語ができるようになる!」と思い、読み始めたのがきっかけです。でもまだ好きになれず、このビブリオバトルでたくさんの本と関わることができて、本を好きになれた気がします。

絵本『つのはなんにもならないか』(北山葉子)が気に入っていました。自分の長所も短所も「自分」として全部受け留めようと思えた本です。