高校ビブリオバトル2016

頭がよくなる、元気になる。いろんなことが上手くいく、驚きの心理術

『シロクマのことだけは考えるな!』植木理恵

斎藤真帆さん(神奈川県・函嶺白百合学園高校2年)

『シロクマのことだけは考えるな!』新潮文庫刊
『シロクマのことだけは考えるな!』新潮文庫刊

頭がよくなる、元気になる、さらには人をコントロールする、人をとりこにする、この本には、そんな皆さんが必ず興味を引かれるような内容が、私たちが考えもしなかった驚くべき方法で載っています。

 

最も重要なキーワードともいえるのが「シロクマ実験」。シロクマ実験はシロクマを使った動物実験ではなく、心理学の実験です。まず3つのグループに同じシロクマの動画を見せます。そして、1つ目のグループには「シロクマのことは覚えておけ」、2つ目のグループには「シロクマのことは覚えていてもいなくてもお好きなように」、3つ目のグループには「シロクマのことだけは考えるな」と言います。さて、どのグループが一番動画の内容をはっきりと覚えていたのでしょうか。

 

答えは……、そう、この本の題名でもある「シロクマのことだけは考えるな」と言われていたグループだったのです。人は、「考えるな」と言われていたことほど考えてしまうというのです。とてもおもしろいですよね。

 

皆さんが必ず一度は経験したことのある、または経験する、「話し合い」について本書から紹介しましょう。皆さんも、大人数で長時間話しているのになかなか物事が決まらない、結局は時間切れで何も決まらなかった、ということはありませんか。なぜ、なかなか決まらないのでしょうか。実はこれ、大人数で話しているからこそなんです。人間は大人数で行動していると、必ず無意識に手を抜いてしまいます。会議で「まわりが意見を言ってくれているし、自分は少し発言しなくてもいいかな」なんてなまけ心が、働いてしまうことありませんか。私にはあります。

 

斎藤真帆さん
斎藤真帆さん

さて、これはどうやったら解消されるのでしょうか。少人数で話せばスムーズに会議が終わるのでは? 確かにその通りです。ですが、この本の中にはなんと、大人数でパフォーマンスを向上させ会議をスムーズに終わらせてしまう方法が載っているのです。

 

緊張をほぐす方法やほめ上手になる方法など、たくさんの内容がこの本の中に詰まっています。そしてこの中に、皆さんの心に必ずぐっと来るものがあるはずです。

 

この『シロクマのことだけは考えるな!』については、決して考えないでください。もう一度言います、この『シロクマのことだけは考えるな!』については、決して考えないでください。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2016 関東甲信越大会の発表より>

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