高校ビブリオバトル2016

ダンゴムシの愛おしさに気づかせてくれて感謝

『ダンゴムシに心はあるのか』森山 徹

野村悠介くん(東京都立青山高校1年)

『ダンゴムシに心はあるのか』(PHP研究所)
『ダンゴムシに心はあるのか』(PHP研究所)

ダンゴムシをいじめること。それは最もポピュラーなこどもの遊びの一つではないかと思います。どうしてダンゴムシにそんな残虐なことをするのでしょうか。ダンゴムシに心はない、心はないからいじめてもいい、と心のどこかで思っているのではないでしょうか。この本は、「ダンゴムシに心はあるのか」ということを作者が一心不乱に説明していく本です。

 

何を隠そう、僕は虫が大嫌いです。とくにダンゴムシには苦い思い出があります。幼稚園の時に、遠足で近くの自然公園へ行きました。そこで友達が足をバタバタさせながら楽しそうに遊んでいました。「ダンゴムシを踏んで遊んでいるんだよ、君もやってみないかい」と言われたので一緒になって踏んでいると、向こう側から先生が怒ってやってくるではありませんか。「やめなさい、ダンゴムシにだって家族はいるんですよ」。僕は家に帰って思いました。「確かにダンゴムシにも、僕のように、優しいおばあちゃんや、お母さん、お姉さん、お兄さんがいるんだ。どうしてこんなことをしてしまったんだ」。その日は泣いてしまいました。

 

そこで、この本なのですが、この筆者はダンゴムシを徹底的にいじめ抜き、その過程の中でダンゴムシが何か変な行動をしたら心があると言えるのではないか、と証明していきます。僕は一度読んで、言っていることは理解できましたが、本で読むだけではだめだと思って、飼ってみることにしました。何しろこれまで虫を使って遊んだことがないので、生物の先生に「お願いします。どこにいるかわかりません。捕ってください」と頭を下げて捕ってもらいました。そして、身近に置いてダンゴムシを眺めたのです。そしたら、かわいいんですよ!

 

ダンゴムシの動きを、僕は今まで一度も見たことがありませんでした。ダンゴムシを押さえつけると、最初は抵抗して逃げるんですが、ずっと押さえ続けると、途中でかっと諦めたように動きを止めるのです。また、コップの縁にダンゴムシを置くと、くるくると縁を回るのですが、途中でバランスが崩れそうになると、落ちる直前に触角を激しく動かしてバランスをとろうとするんです。すごくかわいいいんです。

 

野村悠介くん
野村悠介くん

虫なんて触ったことがなかった僕にとって、ダンゴムシを手の上に置いたのが、僕の虫を手に取った初めての経験でした。もし僕がこの『ダンゴムシに心はあるのか』を読んでいなければ、愛しいダンゴムシに気づくことができなかったというわけです。素晴らしい出会いを届けてくれたこの本にとてつもない感謝の念を抱いています。ダンゴムシに触れた今なら心から言えます!「ダンゴムシに心はある」と。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2016 関東甲信越大会の発表より>

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