高校ビブリオバトル2016
うまく使えば恋のスパイスに!? 「約束を守るなかれ」という不道徳
『不道徳教育講座』三島由紀夫
神田華代さん(埼玉県・春日部共栄中学高校2年)

日本で最後に切腹をした人物、それは、なんと、三島由紀夫先生です。三島由紀夫と言えば、文学的な作品というイメージがあると思いますが、そうではない、彼の本を紹介します。
『道徳教育講座』ではなく『不道徳教育講座』です。まずは道徳について説明すると、道徳とは自分の良心に従って善を行い、悪を行わないということです。では、不道徳というのは、自分の良心に従って悪を行い、善を行わないということですよね。
今回は不道徳教育講座を、私が三島由紀夫の代わりに行いたいと思います。お付き合いくださるとありがたいです。
この本にはいろんなことが書いてありまして、まず「友人を裏切るべし」「弱い者をいじめるべし」、そして「スープは音をたてて飲むべし」。あまり言われないですよね。道徳的ではないから。
今回の講座では私がお気に入りの「約束を守るなかれ」を紹介したいと思います。最近、私は友達と待ち合わせしていて、日にちを間違えていて、友達から電話がかかってきて「お前何やってんの?」と言われて本当に申し訳ないことをしました。でも、わざとすっぽかしたわけではないんです。でも今回の話はわざとすっぽかした男女の話です。題名をつけると「恋から始める」恋の話でございます。
あるところに男女が2人おりました。2人とも大学生。男の子は女の子が超大好きでぞっこんなんです。けれども、女の子の方は「ははん」という感じ。それでも、男の子がやっとの思いでデートに誘ったわけです。
初デートの日になりました。女の子は待っています。「まだかなぁ?」って。でも男の子が来ない。誘っておいて、「なんでやねんっ?」ってなりますよね。10分たって「遅くない?」と思ってLINEするわけです。でも既読がつかない。30分たっても来ない。半日待って、半日待ってれば偉いわって、帰っちゃうんです。
そして、翌日になっても既読がつかない。3日たってもつかない。「なんでやねん?」って。4日後くらいに大学に行くと、なんと男の子の方が別の女の子と超仲良くしている。「はぁー? もはや私のこと好きじゃなかったのかよ」ってなりますよね。それを男の方は狙ったわけです。女の子が、「私、もしかしてあの人に会いたかったのかも」って思うことを。
これは不道徳の悪用だと思うかもしれませんが、それは違います。もう一回確認してみましょう。不道徳とはなにか。不道徳というのは「自分の良心に従って悪を行い、善を行わない」ということですよね。つまり、悪というのはひとつの手段でしかない。つまり、あなたは悪を選んでも善を選んでもいいのです。

悪というのはスパイスに似ていると私は思います。スパイスには種類がいっぱいある。なくてもいいけど入れると美味しい。量を間違えると本当に大変なことになります。悪は本当に使い方次第で、ものすごく大変なことになるし、ちょっといいなってことになったりもします。さじ加減ひとつで全部が変わっていく。
この『不道徳教育講座』にはさまざまなスパイスの種類、効用、活用法がたくさんつまっています。ぜひみなさんの人生にスパイスを。『不道徳教育講座』、これにて終了とさせていただきます。
[出版社のサイトへ]
<全国高等学校ビブリオバトル2016 関東甲信越大会の発表より>
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神田さんmini interview

じっくり読みたいのは、桜庭一樹。意外性を求めるなら、乾くるみ。ナイーブな時は、朝井リョウ。言葉あそびや耽美なものを楽しみたい時は、長野まゆみ。エッセイなら、三浦しをん。詩なら中原中也と俵万智。懐かしい気分になりたい時は、森絵都、山田詠美。言葉の美しさなら向田邦子。ホラー、サスペンスなら京極夏彦。

小学生のときに買ってもらった、あんびるやすこさんの『ルルとララのカップケーキ』の絵がかわいくて、お菓子のレシピもついていて、感激したのを覚えています。その頃から本が大好きになりました。
低学年時には、その「ルルとララ」シリーズ、「わかったさん」のおかしシリーズ、「まじょ子」シリーズが大好きで、その次に「妖怪レストラン」シリーズ、「~のひみつ」というシリーズにはまっていました。特に好きだったのは『宅配ピザのひみつ』です。高学年になってからは、あさのあつこさんの『THE MANZAI』と金田一春彦さんの本が印象に残っています。

小学校5年生のときに、模試の中で永井均さんの『<子ども>のための哲学』を読み、哲学に興味を持ちました。今でも何かについて突き詰めて考えていくことが大好きです。また、山田詠美さんの『A2Z』と桜庭一樹さんの『ファミリーポートレイト』で出版業界に興味を持ったり、石田衣良さんの『娼年』を読んでバーテンダーになりたいと思ったこともありました。

映画『君の名は。』
鳥肌が立つくらい感動しました。今までアニメ映画は見てこなかったのですが、絵がリアルできれいだったので驚きました。「生きたい!」と改めて思い、何かを信じようと思える作品でした。

参加したビブリオバトル関東甲信越大会で紹介されていた『ニューロマンサー』がとてもおもしろそうだと感じたので、今はSFと海外文学を読んでみたいです。海外のものは今まで苦手意識があったのですが、同じくビブリオバトルで紹介されていた『マーチ博士と四人の息子』『幻の女』を読んでみたらおもしろかったので、これから海外のものも読んでいこうと思います。