高校ビブリオバトル2016
どちらから読んでもいい2冊組。あのとき、もし違う選択をしていたら…
『君を愛したひとりの僕へ』乙野四方字
平野雄己さん(千葉県・足立学園高校2年)

並行世界にもう一人の自分がいたら…。本書は並行世界を題材にしています。実はこの本は『僕が愛したすべての君へ』と同時刊行で、2冊で1冊の本になるのです。私が震えた、この本の魅力を3つ紹介します。
1つ目。並行世界なので、主人公が同姓同名。全く同じ人です。幼年期、青年期、壮年期、老年期と年代ごとに分かれています。それなのにとても薄い。1章ずつが短い構成となっているので、読みやすいです。
震えた理由の2つ目は、ヒロイン。ヒロインがこの話には深く関わっています。この2冊の中から、私が先に読むのに選んだのは『君を愛したひとりの僕へ』です。表紙を見ると、こちらの白いドレスのヒロインのほうが、『僕が愛したすべての君へ』のメガネっ子よりかわいいと思ったからです。
3つ目。実はこの2冊は、上下巻の概念というものが一切存在しません。こちらを「上」と呼べばいいか、こちらを「下」と呼べばいいのか。小説の概念を超えた小説なのです。
もう1点、私が震えた、本書の魅力を紹介します。私はこの本を読んで、非常に主人公に近づける話だと思いました。主人公は、幼年期、少年期、青年期と経ていく過程で様々な後悔をします。「あの時ああすればよかった」と。その後悔が物語の伏線になっているのです。様々な後悔を主人公はするのですが、別冊の方ではその後悔が改修されていて、その時に違う選択をした主人公がいます。その時に何を考えたのか、どんなことを考えて、どんな選択をこれからしていくのかということが伏線になっていて、とても面白いんです。

この主人公は、非常に一途でしつこいほどです。主人公は中学校から大学まで、過去7回もヒロインに告白をしてふられ、8回目でようやく拾われるというシーンもあります。読んでみたいと思った方、野口英世と500円玉で2冊両方買えちゃいますよ。
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<全国高等学校ビブリオバトル2016 関東甲信越大会の発表より>
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平野くんmini interview

好きなジャンルは、SF系、異能力者、ホラー、バトル系、恋愛系。好きな作家は、乙野四方字、黒田研二、西尾維新です。

本を読むのが好きになった時期は遅く、中学校2年生くらいからでした。好きになったきっかけは親友にすすめられた、西尾維新さんの小説『化物語』でした。

『戦慄の魔術師と五帝獣』(戸津秋太)
この五帝獣シリーズの作者の方が私と同じ歳で既に小説家になっていて、文章表現の力と語彙力が私より圧倒的に高く、すごい!としか言えません。

『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』。他は、青春系、日常系などが読んでみたいです。