高校ビブリオバトル2016
人生とはすべて自分の選択…純情な兄貴の言葉が心に響く
『十八の夏』光原百合
西 郁馬くん(大阪府立金岡高校2年)

『十八の夏』は4つの話が詰まった本です。1つ目が本の題名通りの『十八の夏』、2つ目が『ささやかな奇跡』、そして『兄貴の純情』と『イノセント・デイズ』。初めの3つが恋愛小説、最後の1とつが推理小説のようなものです。
なんとなく、この本の題名に歳も近いので読んでみようかと思いました。また、裏表紙のあらすじには推理小説と書いてあり、ドラマなどで推理ものを見ることが多いので買ってみたんです。すると恋愛小説だったという……ちょっと面白そうだけど、ちょっと残念な気持ちも半分みたいな感じでした。ところが僕がいちばん気に入ってしまったのが推理ものではなく、3番目の恋愛小説の『兄貴の純情』だったのです。
この話は、主人公よりも主人公のお兄さんを主役として描いています。ヘリオトロープという花が出てきますが、「ヘリオ」には太陽、「トロープ」には向くという意味があり、太陽を向いて花を咲かせるという真っすぐな意味が込められています。
主人公のお兄さんはとても真っすぐな人。高校生の時に演劇を見に行ってから数年間、真っすぐに演劇だけをしてきましたが、ある女性と出会います。自分のすべてを投げうってでもその女性を幸せにしたいと考え、演劇を捨てて公務員試験を受け、地に足のついた生活を送ろうとします。そんな彼が言った、とっても納得できる言葉があるんです。
この話の中に「人生は自分勝手なものだ、勝手にやっとけ」というような意味の言葉があります。どういうことかというと、怒られて嫌々やったとしても、それは結局怒られるのが嫌だから。相手が悲しむのが嫌だから仕方なくやっていると思っていても、結局それは自分で選択しているんだという意味なんですね。真っすぐな人が言った言葉だから、僕の心に響きました。

この本には、それぞれの話のコンセプト、イメージにつながる花が描かれています。その一つ、ヘリオトロープの花言葉は「夢中」「熱望」ですが、この本全体に関係している花が一つあります。それは金木犀です。この本を全部読んだあと、金木犀の花言葉を読んだらより夢中になれるのではないかと思います。
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<全国高等学校ビブリオバトル2016 関西大会の発表より>
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ビブリオバトルで紹介した『十八の夏』が印象に残っています。