高校ビブリオバトル2016

進路で迷いがある人に。夢を持つことの素晴らしさを思い出させてくれた

『好奇心を“天職”に変える 空想教室』植松努

丹羽美紅さん(奈良県立高田高校1年)

『好奇心を“天職”に変える 空想教室』(サンクチュアリ出版)
『好奇心を“天職”に変える 空想教室』(サンクチュアリ出版)

著者の植松努さんは、北海道の赤平という町にある植松電機という工場で、自分たちの手で一からロケットや人工衛星を宇宙に飛ばしています。植松さんの工場には、世界でもNASAとドイツと植松さんの工場の3か所にしかない無重力空間を作り出すタワーがあります。

 

植松さんが生きてきた中で思うことや考え方が書かれていますが、初めて読んだ時は、ただ単純に植松さんがすごいなぁとか、ロケットを作るなんてすごいなぁとか思いました。でも、進路を考える授業の中で植松さんのスピーチを聞いてからもう一回読んでみたら、前とはまったく異なり、もっと夢や自分のことについて深く考えることができたのです。

 

初めの進路の授業では、自分のやりたいことはまったくなく、「これからどうしていったらいいんやろ」とか、「進路決めなあかんのに」と思いました。ところがこの本を読み進めていくうちに、小学校の時に担任の先生から言ってもらった言葉や、昔の自分のことなどを思い出しました。昔は純粋に憧れでこの仕事をしたいとか、将来の夢があったのですが、大きくなると変に現実的に考えるようになってしまい、「自分にはどうせ無理」とか「どうせこれやったところで」と諦めていたのです。

 

この本で、夢を持つことがすごく楽しくて素晴らしいということ、そして、どんなに大きな夢でも持つことは恥ずかしくないんだということを教えてもらいました。そして今ではしっかり自分の夢を持てるようになり、こういうふうにしていきたいなと思えるようになりました。

 

丹羽美紅さん
丹羽美紅さん

自分の考え方を180度ガラっと変えてくれたこの本の中に、「思うは招く」という言葉があります。どんなに大変なことでも、こうしたいとずっと思い続けることができたら実際にできるようになるということだと思います。植松さんにも周りの先生や大人から「できないよ」「どうせ無理だよ」と言われた経験があったそうです。でも実際にロケットを作ったり、人工衛星を打ち上げたりといったすごいことを実際に行っている人なので、言葉に説得力があります。

 

自分でもできるんじゃないかと思え、将来のことを考えるのがすごく楽しくなり、希望を持てるようにしてくれた本です。この本との出会いがみなさんにとってもいいものになったらうれしいと思います。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2016 関西大会の発表より>

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