高校ビブリオバトル2016
負けても努力をつづけ、反対されても自分の道を貫く姿がカッコいい
『裸でも生きる~25歳女性起業家の号泣戦記』山口絵理子
宮本晴美さん(大阪府・関西創価高校2年)

著者の山口絵理子さんは23歳の時に途上国から世界に通用するブランドを作りたいという理念のもと、会社を立ち上げてバッグやストールなどの製品を生産し、販売するお仕事をされています。
中学時代の担任の先生は、「落ち込んだり、気持ちが乗らなかったりする時に、この本を読むようにしています」とおっしゃっていました。すごく朗らかでパワフルな先生がおっしゃるのなら絶対に面白い本だと思い、この本を手に取ったのです。
初めて読んだ時の衝撃はすさまじくて、本当に鳥肌が抑えられないくらい彼女の生き方に感動しました。すごいところは、主に2つあると思っています。
1つ目は、彼女がどれだけ負け続けても、自分自身を諦めないところ。むしろ他人の何倍もの努力で見返してやるといつも思っているところが本当に素晴らしいのです。
彼女は高校時代、とにかく柔道が強くなりたくて、超名門の男子柔道部に入部します。でも、そこで彼女は地獄のような日々を味わいます。朝5時半から夜10時半までぶっ通しで練習し続けたあと、個人的に近くの柔道場に行ってさらに2時間練習。朝は、5時半の練習が始まる前に自分の体重よりも重いタイヤを引いてグラウンドを走り回ったり、両足に5kgずつ重りを付けてダッシュしたり。そういう練習を365日毎日続けるんです。
そうやって毎日努力を続けても、彼女は試合で一度も勝つことができません。ずっと負け続けて、練習ですら相手を投げることができず、結局2年間一度も勝つことができなかったのです。
しかし、彼女は諦めず努力をし続けました。努力して、努力して、彼女は高校時代最後の大会で、なんと全国7位の成績を収めることができたのです。
自分で自分の可能性を信じきる。自分ならできると強く思い、努力をやめない。その姿勢が本当にかっこいいなと思い、とても勇気がわきました。
彼女がすごいなと思う2つ目は、周囲の物差しと自分の価値観を絶対に合わせようとしないところです。
柔道生活が終わった高校3年の秋に、彼女は突然慶応義塾大学を受験しようと決意します。とても偏差値の低い工業高校に在籍していたので、「絶対可能性なんかないからやめとけよ」「無駄な努力はやめろよ」と周囲の人や担任の先生からも言われるんですが、彼女は努力をやめず挑戦し続けました。そして彼女は、その冬に見事慶応大に合格するのです。

バングラデシュの大学院に突然一人で入学試験を受けに行き、2年間生活したというエピソードもあります。絶対に周りに振り回されず、自分が正しいと思った道を貫く。そのカッコよさがこの本からは伝わってきて、私もそういうふうに頑張りたいと強く思えるのです。自分にはもっともっと可能性があるんじゃないか、本当の自分ってこんなもんじゃないだろう、そんなふうに自分を信じられる、そう思えたこの本に出会えたことをうれしく思っています。
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<全国高等学校ビブリオバトル2016 関西大会の発表より>
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