高校ビブリオバトルの頂上決戦!

協力:河合塾/みらいぶプラス

全国高等学校ビブリオバトル2016決勝大会

グランドチャンプ本は、山梨県代表 北原仁くん(山梨県立北杜高校3年)紹介の『ハリネズミの願い』

バトラーが自分のおすすめ本の魅力を5分間で語り、観戦者が「一番読みたくなった本」に投票してチャンプ本を決めるビブリオバトル。昨年7月から、北は北海道から南は沖縄まで、全国のべ720人が参加した予選を勝ち抜いた39人の高校生バトラーが集まる決勝大会が、東京都千代田区のよみうり大手町ホールで開催されました。(1月8日(日))

    →全国のビブリオバトルで紹介されたおススメ本はこちら

 

ゲストに、斎藤孝先生(明治大教授)、森絵都さん(作家)、笑い飯・哲夫さん(芸人)

39人は3つの会場に分かれて予選を行います。そして、各会場から2名、計6名がファイナルに進みました。

 

「決勝戦の舞台に上がれれば全員に聞いてもらえるので満足」

グランドチャンプ:北原 仁くん(山梨県立北杜高校3年)

グランドチャンプ本に選ばれたのは、山梨県代表 北原仁くん(山梨県立北杜高校3年)が紹介した『ハリネズミの願い』(トーン・テレヘン、新潮社)。

 

臆病で、自分の針が嫌いで、人付き合いが苦手なハリネズミが、自分の家に他の動物たちを招待しようとしますが、ああなったらどうしよう、こうなったら困るなあ、とぐずぐず悩み続け、結局せっかく書いた招待状を破ってしまいます。ところが、誰かが訪ねて来て…。

 

「ビブリオバトルは、決勝戦の舞台に上がれれば会場に来てくださった全員に聞いてもらえるので、実は上がった時点で若干満足していました」という北原くんの、とつとつとした味わい深いプレゼンは会場のあたたかい笑いを誘い、多くの支持を集めました。

 

「バンクーバー留学を後押ししてくれた本」

準グランドチャンプ:宮川悠之介くん(福井県立武生東高校2年)

準グランドチャンプ本は、宮川悠之介くん(福井県立武生東高校2年)が紹介した『「手紙屋」』(喜多川泰、ディスカヴァー・トゥエンティワン)。就職の壁に悩む大学4年生の主人公と、彼を応援する手紙屋の10通の手紙のやり取りで描かれる物語。主人公の心に寄り添い、読んだ人を前向きにするパワーをもたらすステキな言葉を書いてくれる手紙屋とはいったい誰なのか。

 

宮川くんは、「バンクーバー留学を迷っていた時に、この本を紹介してくれた中学時代の友達には、本当に感謝してもしきれません。今となっては、あの日が夢のことのようです」と話してくれました。

 

「本は不思議な力を持っている」

ゲスト特別賞:吉水優里子さん(神奈川・鎌倉女学院高校2年)

ゲスト特別賞には、吉水優里子さん(鎌倉女学院高校2年)が紹介した『マーチ博士の四人の息子』(ブリジット・オベール、早川書房)が選ばれました。

 

医師夫妻と四つ子の兄弟が暮らす模範的な家庭。住み込みのメイドのジニーが奥様の部屋で偶然見つけた日記は、殺人犯の記録でした。この日記を書いたのは誰なのか。好奇心にかられた彼女は自分で捜査を始めますが、やがて盗み読みが犯人にバレて、彼女にも徐々に危機が迫ります…。

 

吉水さんは、「この本との出会いは2年前、全くの偶然で、まさかこんなに長い付き合いになるとは思いませんでした。しかし、この本のおかげで貴重な出会いや体験を数多く得て、世界がぐっと広がりました。『本は不思議な力を持っている』ということを実感しました」と語ってくれました。

 

「この本との出会いは高倉健さんのおかげ」

優秀賞:諏佐僚一くん(東京都立板橋高校2年)

時速80㎞以下になると爆発する爆弾が仕掛けられた新幹線を舞台にしたパニック小説『新幹線大爆破』(ジョゼフ・ランス、加藤阿礼、論創社)を紹介したのは諏佐僚一くん(東京都立板橋高校2年)。高倉健さんが主演し、欧米でも大ヒットした日本映画をイギリス人の作家がノベライズした作品です。

 

諏佐くんは、「高倉健さんのおかげでこの本を知ることができたので、読んで感じたことをそのままビブリオバトルで伝えようと思いました。最後のステージではその思いを出し切りました!」と語りました。

 

「『席替え』について卒業論文を書いた人ならではの実感」

優秀賞:熊倉由貴さん(東京・渋谷教育学園渋谷高校2年)

熊倉由貴さんは、自称「珍論文コレクター」のお笑い芸人サンキュータツオ氏の『ヘンな論文』(角川学芸出版)を紹介しました。お堅くて難しい、つまらないと思われがちな論文や研究が、実はツッコミどころ満載でこんなにおもしろいんだ、ということに気づかせてくれる一冊。自分でも「席替え」について卒業論文を書いている、という熊倉さんの実感のこもったプレゼンでした。

 

「ビブリオバトルに参加しなかったら関わることのなかったたくさんの人たち、一緒に大会に出た高校生や私の発表を聞いてくれた方々、そして図書館の司書の先生方に出会わせてくれたこの機会にありがとう。また、私を応援してくれた家族や友達にありがとう。この感謝の気持ちを忘れないようにしよう、と思わせてくれたのが、ビブリオバトル全国大会でした」

 

「著者・原田まりるさんの大ファン」

優秀賞:谷澤花梨さん(大阪府立日根野高校2年)

『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』(原田まりる、ダイヤモンド社)

を紹介した谷澤花梨さん(大阪府立日根野高校2年)は、著者の原田まりるさんの大ファン。京都の縁切り寺でニーチェに出会った女子高生が、歴史上の6人の哲学者達との会話を通して哲学の魅力にめざめていく、というストーリーを軽やかに語りました。

 

「全国大会は本当にレベルが高かったので、より嬉しかったです。最後の発表では自分の力が出し切れず、本の良さを自分なりの100%で伝えることができずくやしかったですが、私に関わってくれた方々の気持ちも胸に、失敗をバネとして、様々なことに取り組みたいと思います」と感想を寄せてくれました。

 

トークセッション

決勝大会では、ゲストの作家・森絵都さん、お笑いコンビ「笑い飯」の哲夫さんを交えたトークセッションも行われました。自分の著書の紹介や子ども時代の読書体験のこと、ビブリオバトルに出場した高校生へのメッセージなどを語りました。 

長編『みかづき』を上梓した森さんは、学生時代は、実はあまり本を読んでいなかったそうです。でも、大人から「読みなさい」と言われると反発しても、友達に勧められた本はすなおに読めたので、ビブリオバトルのように同じ年代の人にさまざまな本を紹介してもらうのは素晴らしい機会、と話しました。また、プレゼンに臨むバトラーたちには、「作家がどう思って書いたのかと考えるより、自分が感じたことを投げ返せばいい。正解が出なくて完結しないからこそ、広がりがあります」とエールを送ってくださいました。

 

「芸能界きってのビブリオバトル通」の哲夫さんは、今年も軽妙なトークで会場を沸かせました。昨年の決勝大会で紹介された『君の膵臓がたべたい』を移動の飛行機の中で読んで泣いてしまい、泣き顔を隠すのに苦労した、というエピソードを紹介しました。

 

閉会式の後は、お楽しみの交流会。「プレゼン以上に楽しみ!」という参加者もいるほど、ビブリオバトルの交流会は盛り上がります。本好きな仲間たち同士、好きな作家や作品の情報交換、地方大会に出場した時のエピソード等など、話題はいつまでも尽きません。 

ビブリオバトルのルールはとても簡単です。

1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる

2.順番に一人5分間で本を紹介する

3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う

4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ本』とする

 

皆さんの学校でもおススメの1冊を持ち寄って、ぜひチャレンジしてみてください!

ビブリオバトル 公式ルールはこちら

http://www.bibliobattle.jp/koushiki-ruru

 

※ 全国高校ビブリオバトル2016

主催 活字文化推進会議 

主管 読売新聞社 

後援 文部科学省、全国学校図書館協議会、全国高等学校文化連盟、ビブリオバトル普及委員会

協力 河合塾「みらいぶプラス」