高校ビブリオバトル2017

3000ページ、24万語の言葉の世界に出会う

『広辞苑』新村出:編

大榎すばるさん(静岡・清水国際高校1年)

『広辞苑』(岩波書店)
『広辞苑』(岩波書店)

ビブリオバトルを題材とした小説に、こういう一文がありました。「ビブリオバトルで紹介する本は、本なら何でもいい。それがたとえ辞書でも、電車の時刻表でも」。さすがに時刻表は紹介できませんが、辞書ならできるかも。その中でも私が『広辞苑』を選んだのは、マイナーな言葉がたくさん載っているからです。

 

私の名前は大榎すばるといいます。「大きい」にエノキダケの「榎」、そして平仮名で「すばる」です。これだけで2つのあだ名が思い浮かびますよね。1つは「エノキダケ」。これはもうさんざん呼ばれてきました。もう1つは、『天空の城ラピュタ』の呪文でおなじみの「バルス」。

 

エノキダケ、エノキダケとからかわれていた時、私は祖母の家にあった『広辞苑』第2版で、「私のあだ名ってどうなんの?」と調べてみました。すると、なんとエノキダケはマツタケ科だったんです。つまり、私を「エノキダケ、エノキダケ」って呼んでいる男子たちは、「マツタケ、マツタケ」って呼んでいるのと一緒…。あれ、褒められてる?!

 

さらに、何を思ったのかよくわかりませんが、「ブナシメジバルス」と呼んでくる男子もいました。では、ブナシメジは?と調べてみると、何とこれもマツタケ科、しかも「別称『香る松茸』」、さらに褒められちゃっています。これ、褒め殺しっていう新手の嫌がらせだったのでしょうか。

 

ところで、次の3つの言葉の中で、仲間はずれはどれでしょう。

1.アンポンタン

2.グズ

3.愚か

正解は、広辞苑で調べてみてくださいね。

 

私は本が大好きですし、たくさん読みたいとも思いますが、さすがにこの広辞苑は読みきれません。ですから、皆さんにこれを全て読むなんてことはお勧めしません。3000ページ近くありますから。もちろん、読みたいという方は読んでみてください。私は尊敬します。もちろん辞書として活用してもいいです。

 

最後に、私のお薦めの読み方を紹介します。まず、適当なページを開いて適当な項目をえいっと指し、そこを読むだけです。皆さんも、『広辞苑』を通してぜひいろいろな言葉と出会ってください。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2017 静岡県大会の発表より>

こちらもおススメ

『地獄堂霊界通信』

香月日輪(講談社文庫)

私の好きな作者さんのデビュー作です。主人公のてっちゃん、りょーちん、椎名はイタズラ好きな小学5年生、通称「三人悪」と呼ばれています。せこい大人の敵で、子どものヒーロー。そんな彼らは、「地獄堂」と呼ばれるボロい薬屋のオヤジと出会い、霊や妖怪、人間を救うべく力を合わせます。読書が苦手な人でも読みやすいですね。

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『妖怪アパートの幽雅な日常』

香月日輪(講談社文庫)

この本のアピールポイントは3つです!と語っていたら終わりそうもないので、2つ書きます。1つは、個性豊かなキャラクターの会話です。思わず、ハッとさせられる名言がたくさんありますね。その中で、私が一番好きなのは「だいたいの事は時間が解決してくれる」です。この言葉のおかげで、私は物の見方が変わりました。2つ目は、ご飯がとてもおいしそうに書かれていることです。白米が食べたくなります。

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『本好きの下剋上』

香月美夜(TOブックス)

先輩におすすめされた携帯小説です。小説は紙の方が好きなのですが、そんな私でも続きが気になり、思わず読んでしまいました。主人公のマインちゃんが「読書」と「家族愛」のために、全力で努力する姿と、それにつられた努力する他の人たちの姿が好きです。書籍の2巻を読むと、ジャガバターが食べたくなります。

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大榎さんmini interview

妖怪の出て来る話が好きです。(香月日輪さん、榎田ユウリさん他)

キャラクターの個性がガッツリ出て来る話も好きです。(同じく、香月日輪さん、榎田ユウリさん、上橋菜穂子さん、有川浩さん)

 

上記でも紹介した『妖怪アパートの幽雅な日常』です。事故で両親を失ってしまい、、ワケありな「寿荘」通称「妖怪アパート」に住むことになった高校生の日常生活を描きます。この本は小学生の時に手に取りました。「君の人生は長く、世界は果てしなく広い。肩の力を抜いていこう」という文章に、当時イジメられっ子だった私ははっとさせられました。妖怪(彼ら)もまた変人(私たち)も当たり前で、たった一部でしかないんだ、という少々変わったポジティブ思考ができるようになりましたね。

 

『桜蘭高校ホスト部』です。葉鳥ビスコさんの作品が好きで前々から読みたいと思っていましたが、なかなか売っていないため、漫画喫茶で読みました。主人公の大ざっぱな性格が好きです。

 

SFを読んでみたいです。それから、感動する話と、ストレスを忘れられるくらい笑うことができる本が読みたいです。