高校ビブリオバトル2017
エリンの心意気と成長から勇気をもらった
『獣の奏者』上橋菜穂子
三宅萌未さん(岡山県立倉敷商業高校2年)

私がこの本に興味を持ったのは、テレビでアニメ化されたものを見たのがきっかけでした。また、作者の上橋菜穂子先生は、2015年本屋大賞を受賞したことでも知られる、私の大好きな作家さんです。この作品は4巻まであり、さらに別冊もある、とても壮大なお話です。
私がこの本を選び、ビブリオバトルにまで出場しようと思ったのは、次の二つの理由で心を打たれたからです。
一つは、主人公エリンの真っすぐな心意気です。エリンは「闘蛇」と呼ばれる特別な動物の世話をする村の子どもなのですが、あるとき母親が、世話をしていた闘蛇を死なせてしまいます。そのため母親は処刑されることになってしまうのですが、それを聞いたエリンは、一目散に母親を助けに行くのです。
まだ10歳にも満たない女の子が、母親を助けるために必死に処刑場に向かう、その行動は本当に素晴らしいと思いました。私自身、あまり勇気のある行動を取ったことがないので、エリンのようにできたらいいなと思いました。
二つ目は、エリンが成長していく姿です。この本は1巻から4巻、そして別冊編と物語が進むにつれて、エリンが次第に成長する様子を描いています。
エリンは処刑場に駆けつけたものの、結局母親の処刑を止めることができず、母親は命を落としてしまいます。しかし、そんな困難な壁にぶつかっても、エリンはめげることなく、母親と同じ、闘蛇の世話をする係を目指して真っすぐ道を歩いていきます。そして、ほかの人々の助けを借りながら成長し、この闘蛇という扱いづらい動物を、一生懸命世話することができるようになったのは、とてもすごいことだと思います。
エリンは、好奇心旺盛で、頭が良くて、とても勇気がある子です。私自身はあまり勇気がないので、そのままエリンのまねをすることはできませんが、今回この本を読んで、ビブリオバトルに参加しようと、勇気を持って一歩踏み出すことができました。
この本は、あまり字が小さくなくて、本が苦手な方でもとても読みやすいです。分厚いから読みづらいだろうなと思っていたのですが、読んでみると、半日で1巻から4巻まで全部読んでしまいました。そのあと、別冊編まで全て読み、最後は泣いてしまうような感動の話になっているので、皆さんもぜひ読んでみてください。
ファンタジー小説が好きな方、もしくはライトノベルが好きな方にもお勧めです。最初から最後まで、楽しく読んでいただけると思います。
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<全国高等学校ビブリオバトル2017 岡山県大会の発表より>
こちらもおススメ

『神様のカルテ』
夏川草介(小学館文庫)
この本は病院内のいろいろな環境を一人の主人公イチの視点から描いた医療ものです。病院内での葛藤や辛さを物語った作品ですが、この本では一つの意志を貫くことを鮮明に描いています。一つの意思を貫く事は大変ですが、とても大切で、人生に影響を受けた気がします。
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『図書館戦争』
有川浩(角川文庫)
図書館の法律が、実際に現代でも制定される可能性がある現実味のある本です。主人公の郁と、その教官の堂上の恋愛模様もとても面白くて、私の好きな要素がたくさん詰まっている本です。
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『神々の山嶺』
夢枕獏(集英社文庫)
好きな俳優さんが映画『エヴェレスト~神々の山嶺』で主演したことがきっかけで読んだ作品です。エヴェレストという苛酷な山に登るという勇気と、登山者を傍で記録するカメラマンの方々との対話がすごく現実味があって面白いです。
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三宅さんmini interview

好きなジャンルは、ファンタジーや恋愛もの、ミステリーです。好きな作家は、有川浩さん、夏川草介さん、上村菜穂子さんです。

『水の都のフローラ』がお気に入りです。錬金術師のお話で、少年少女が少しずつ錬金術師として成長していくお話です。少し恋愛模様も入っている点も好きです。

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』です。映画を見てから読んだのですが、本は映画とは違って、途中途中に手紙の写しのようなものが載せてあります。私はその手紙を読んで感動しました。

村上春樹の本はまだ読んだことがないので、『1Q84』などを読んでみたいです。