高校ビブリオバトル2018

芸人の得意技「ツッコミ」で考える習慣をつける

『勉強の哲学 来たるべきバカのために』

千葉雅也(文芸春秋)

橋場友広くん(三重県立四日市南高校1年)

僕は勉強が嫌いです。僕の通う学校は進学校で、勉強が嫌いな僕からしたら、周りのクラスメイトは狂ったように勉強しているように見えます。僕は、ただ単にすごいなと思うことしかできません。でも学校に行く限り、少しは勉強しないといけないとは思います。では、人はなぜ勉強するのか。それに迫った本を紹介します。

 

勉強の哲学とは、なぜ勉強するのかについて考えることです。サブタイトルの「来たるべきバカのために」についても重要なキーワードになってきます。

 


この本を読んだ結果、皆さんに実践していただきたいことを話します。それは、日常の様々な場面でツッこむことです。ツッこむとは、お笑い芸人がよくやるような「なんでやねん」を想像してください。

 

例えば、Aさん、Bさん、Cさんの女子大生3人がケーキのバイキングに来たとします。ずらっと美味しそうなケーキが並んでいます。Aさんが「クリームがなめらかだね」と言いました。Bさんは「メロンが良い香り」と言いました。そしてAさんがCさんに「そのケーキ美味しい? 」と質問しました。さて、Cさんはなんと答えるべきでしょうか。

 

「美味しい」と言えばいいのです。でも、本当にそうでしょうか。Cさんはこう言ってやりましょう。「それってさあ、美味しい以外の回答は許されてるの? 」 周りはざわざわしますよね。それで良いんですよ。

 

これは少し極論かもしれませんが、自分がしていることに、ツッコミを入れてみるというのは、こういうことです。自分は今これをしているけど、それは本当にすべきか、ツッこむことで、それをやっている意味をもう一度深く考えることができる。今自分はこれをしているけど、もっと先にやるべきことがあるんじゃないのかと考えてみる。そうすることで、物事の順序を組み立てることができます。

 

でも少なくとも僕の周りにこういうことをやっている人は少ないです。それは、なぜでしょうか。バカになりたくないからです。自分からバカになりたいと思う人は、おそらくいないでしょう。

 

先ほどのケーキの話に戻りましょう。「美味しい」と言えばいいものを、わざわざ皮肉を込めた言い方をしているCさんは、周りから浮いています。ノリが悪い。この本ではCさんのような人を「バカ」と呼びます。来たるべきバカとはそういうことなんです。自分自身にツッこめば、深く考える人になれるということです。

 

でも、日本人はそう簡単にはできません。なぜなら、日本人は昔から個を好まないからです。集団でいたい。もっと言えば、大多数の意見に身を任せればいいんじゃないかと思う人が多いでしょう。実際に僕もそうだったんです。周りの顔色を伺って、自分の感情を押し殺していました。

 

しかし、僕はこの本を読んで変わることができました。多少ノリが悪いかもしれないけど、自分の意見を持って、それを発信することができるようになりました。

 

みなさんも、今は流されていてもかまいませんが、いつかそれでつまずくことがあるかもしれません。そんな時には、自分自身を疑ってツッこんでみることです。この本は、みなさんの頼もしい道具となるでしょう。

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<全国高等学校ビブリオバトル2018全国大会の発表より>

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