高校ビブリオバトル2018
湯たんぽ、おっぱい、浮気男……おかしな素材をまじめに研究
『ヘンな論文』
サンキュータツオ(角川文庫)
三輪桜花さん(奈良県立奈良北高校2年)
サンキュータツオさんの『ヘンな論文』は、私の読書観を変えてくれました。サンキュータツオさんはオフィス北野所属の芸人さんです。この本はタイトル通り、ちょっと変わった論文をサンキュータツオさんが紹介するというものです。
論文ってなんだか、漢字難しい、数字いっぱい、理系のかたまりといったイメージがあります。でもここで紹介されている論文は、例えば「おっぱいの揺れとブラのずれ」「浮気男の頭の中」「古今東西の湯たんぽ」などです。これを論文で書いている人がいる。それにまず私は衝撃を受けました。そしてサンキュータツオさんは、それを紹介していくのです。
私はそもそもサンキュータツオさんの『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』という本がとても好きで、『ヘンな論文』も同じ筆者ということで買ってみたのですが、最終的に「論文ってめちゃくちゃ面白いやん!」と思うようになりました。
論文は難しいイメージがありますが、この本は芸人さんが書いているので、言葉の選び方が面白いです。まるでテレビのバラエティ番組を見ているような感覚で、論文について知ることができます。しかもその内容が、湯たんぽなどの身近なものについてなのです。そこらへんにある湯たんぽが、論文になっていること自体がそもそも面白いと思いました。さらに、サンキュータツオさんの言葉遊びの面白さで、それが倍増しています。知的エンターテイメント本という紹介をされているんですが、まさにそうです。

今まで小説を読んできた文学少女という方にもぜひ一度読んでほしいです。私も、もともと物語ばかり読んでいて、授業で読む評論は苦手だなと思っていました。漢字が出てくるだけでもしんどいと思ってしまいます。でもこの本は、難しい論文を取り上げているはずなのに、とっても面白い!
この本で、私が一番好きなのが「女子高校生と男子の目」という論文で、本当に面白いんです。一冊でいろいろな論文の内容を知ることができて、しかも論文や評論に対するイメージが変わる本です。
[amazonへ]
<全国高等学校ビブリオバトル2018全国大会の発表より>
こちらもおススメ
『学校では教えてくれない!国語辞典の選び方』
サンキュータツオ(角川文庫)
サンキュータツオさんとの出会いの本だったのですが、国語辞典というものを読むものとして認識するきっかけになりました。国語辞典を1冊しか持っていない人、そもそも小学校から使っていないような人に読んでもらいたいです。
[amazonへ]
三輪さんmini interview

『ぼくらの七日間戦争』が好きでした。中学生が夏休みに立てこもる話なのですが、小学生の頃は中学生にあこがれがあったので、この本を読んで中学生活を楽しみにしていました。

絵本『どこいったん?』のような意味がわかるとゾクッとするような絵本が好きなので、そんな絵本や大人でも読める(ヨシタケさんなど)の絵本をもっといっぱい読みたいです。