高校ビブリオバトル2018
ほどよく鈍感であることは、人生を気楽に生きる秘訣!
『鈍感力』
渡辺淳一(集英社文庫)
古屋慎人くん(山梨県立甲府西高校1年)
自分の家族や友人に、「あなた、鈍感だね」と言われたらどう思いますか。ちょっと悲しい気持ちになったり、「えーそうなの?」って思ったりする人もいると思います。僕は、この『鈍感力』という本を読むまでは、「鈍い力」なんて、生きていく中で必要ないんじゃないかなあ、なんて思っていましたが、この本を読んで、「ああ鈍感力って必要なんだなあ」とか、「鈍感力があると楽に生きられるんだ」と思うことがありました。
「今日の発表のことで緊張して、昨日全然眠れなかった」と言う人がいますが、そこにも鈍感力がすごく関わっています。いろんなことに反応してしまう敏感な人は、次の日に試合があったり大事な試験があったりすると、緊張してしまって前の日眠れなかったり、その日の朝も、ものが全然食べられなかったりということがあると思います。自分も小学校の時から野球をやっていますが、その頃は試合の日の朝緊張して、朝ご飯を食べても嘔吐して、なかなか自分のパフォーマンスが出せないということがありました。その時に母親が「ちょっと読んでみたら?」と僕にすすめてくれたのが、この本です。こういう時に「鈍感力」が必要だよという話がいくつも書いてあります。
視覚、聴覚、味覚といった五感にも多少鈍感力は必要です。例えば視覚が敏感すぎると、自分がいらないものまで見えることがある。味覚が敏感過ぎると、自分の好む味しか食べられなくなってしまって、好き嫌いが多くなってしまう。聴覚が敏感すぎるといらないものまで聞こえてしまう。そういうところでも程よい鈍感さが必要だよ、ということが書かれています。
他にも、男性と女性の鈍感力の違いが書かれています。女性は子供を産むために痛みに強く作られています。そして、脂肪層が男性より厚くて寒さに強い。もし男性と女性が森で遭難したら、女性が男性に「ああ寒い寒い、ちょっとコートを貸してくれない?」と頼むかもしれません。そういう時は、男性は断ってください。男性の方が寒さに弱いのに、そこでコートを貸してしまうと、男性の方がもっと早く死んでしまいますから(笑)。
また、女性は痛みに強いのに、ちょっとの擦り傷で、男性の前では「ああ痛い痛い」という女性がいますが、それは近くにいる男性の方に見てもらいたいという気持ちが入っています。男性は、こういうことを頭に入れながら、女性との関係を築いていってほしいと思います。

この本の中に「図に乗る才能」という話があります。将来大舞台で活躍する人は、高校生や大学生の時に、先生とかに怒られても、「ああ、はいはいそうですか、また言ってるよ」という聞き流す能力というのがあるらしいです。そういう人は、自分の意思をしっかり持っていて、周りの人に何と言われても流されない。そこにも鈍感さというのが必要になるようです。この本を読んで、いろいろなものに反応してしまっていた自分が少しずつ変わっていけました。
[amazonへ]
<全国高等学校ビブリオバトル2018全国大会の発表より>
こちらもおススメ
『君たちはどう生きるか』
吉野源三郎(岩波文庫)
僕に人生をどうやって生きていくか深く考えさせてくれた本です。どんなことがあっても逃げ出さない強い気持ちを手に入れることができました。
[amazonへ]
古屋くんmini interview

東野圭吾さんです。

『キングダム』という漫画です。絵にとても迫力があり、リアルに描かれています。戦闘シーンがかっこいいです。