高校ビブリオバトル2018

イグノーベル賞学者のぶっ飛んだチャレンジが、モノの見方を変える!

『ゼロからトースターを作ってみた結果』

トーマス・トウェイツ 村井理子:訳(新潮文庫)

片山華乃さん(岡山県立岡山南高校3年)

『ゼロからトースターを作ってみた結果』の著者は…ぶっ飛んでいます!もしみなさんが、ゼロからものを作ろうとしたらどうしますか。まず、物の構造を思い浮かべて、それがわかったらお店に材料を買いに行きますよね。でもこの本の著者は、あくまでも「ゼロから作る」というところにこだわったのです。その結果、彼は最初に、湖がある森まで自転車で行きます。次に、自転車を湖に捨てます。そして、自分の着ている服を燃やしちゃうんです!

 


全てが焼き払われ、森の中で裸の僕がそこにいる!トースターを作る準備ができた!!

…って、いやぁゼロってそこから!?  (会場笑)

 

次は、鉄板やプラスチックを買いに行くかって? イヤイヤ違います。原料から作るんです。プラスチックを、石油から作るために石油を掘りに行こうとしたり、ある原料のために立ち入り禁止とされている鉱山に行こうとしたり、「それ、アウトだから!」ということばかりなんです。もう、買った方が早いのに、って思うんですけど、彼には信念があるんです。それも、ものすごーい信念が。でも、そこまでしてトースターを作りたいなんて、やっぱり変わってますよね?

 

実は彼、ある賞を取っているんです。イグノーベル賞って、知っていますか?人を笑わせるけど、考えさせられる研究に送られる賞です。その時の研究テーマは「人間をお休みしてヤギになってみた結果」って、ほんとにぶっ飛んでいます。

 

そもそも彼は、どうしてトースターを作ろうと思ったのか。彼が言うには、「あったら便利、でも、なくても平気なもの」で、思いついたのがトースターだったみたいです。みなさんだったら、何を思い浮かべますか?私なら…ドライヤーとか、掃除機とか。その中で、どうしてトースターだったのか。それは、ぜひこの本を読んでみてください。彼が作ったトースターですが、ポケモンのベトベターを黄色にして、固めた形をしていると言ったら、イメージできましたか。

 

このトースターを作った結果、結局彼は何を手に入れたのでしょうか。

 

私は、「目の前のことを鵜呑みにしないこと」だと思います。とにかく追求する。何でできているのか、どこでどうやって作られているのか、その原料はどこにあるのか。そんなことって、普段考えません。だから全く答えられない。

 

実はトースターって、400種類ものパーツでできているんです。こうしてみると、私たちはいかに与えられたものだけを見て生活しているかがわかると思います。

 

私は商業科の生徒なので、ものの販売についてはよく学習してきました。でも、ものが作られる工程について考えることは、なかったんですよね。この本は、そんな視点を与えてくれて、環境のことや地球のこと、ものづくりのことについて教えてくれます。そして、世の中の見え方を大きく変えてくれます。

 

みなさんも、この本を読んで、イグノーベル賞の道を辿って見ませんか。価値観が、ガラリと変わるはずです。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2018全国大会の発表より>

こちらもおススメ

『人間をお休みしてヤギになってみた結果』

トーマス トウェイツ(新潮文庫)

『ゼロからトースターを作ってみた結果』の次の本です。彼の発想力がぶっ飛んでいるあたりが大好きです。ものづくりに興味がある方は、ぜひ読んでほしい本の一つです!

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『精霊の守り人』

上橋菜穂子(偕成社)

圧倒される世界観はファンタジー好きにはたまらないと思います!とにかく動きや音などの書きぶりがリアルですごく映像が浮かんできます。

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『村上海賊の娘』

和田竜(新潮文庫)

戦国時代の海賊の話なのですが、日本の海賊の話は読んだことがなかったので、ちょっとビックリした本です。娘や海賊たちの生き様に心動かされる本です。

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片山さんmini interview

好きな本のジャンルは、ファンタジー系です。現実では起こりえない事が起こるので、ワクワクしながら読んでいます。

 

『タラ・ダンカン』という本は全部で全12巻あるのですが、中学校の図書館にあって、はまりすぎて2日間徹夜して読み切った記憶があります。

 

今回のビブリオバトルではミステリーの本が多くて、心ひかれる発表も多くありました。今まであまりミステリーや化学系の本は読んでこなかったので、今回を機に新しいジャンルにも挑戦してみたいです。