高校ビブリオバトル2018

45通りの死のシナリオが語りかける科学の面白さ

『とんでもない死に方の科学:もし○○したら、あなたはこう死ぬ』

コーディー・キャシディー、ポール・ドハティー 梶山あゆみ:訳(河出書房新社)

谷口美宇さん(鳥取県立倉吉農業高校3年)

『とんでもない死に方の科学』というタイトルに、「おいおい!」と思った方もおられると思いますが、まずは「死に方」を一つ二つ紹介します。

 

一つ目。任天堂の「マリオカート」には、バナナが出てきて、バナナに触ると車体がスピンします。では、この本に書いてあるバナナの皮を使って死ぬ方法はというと、バナナの皮を踏むと、滑って転んで頭を打ちます。でも、頭を打つことでは死なないのだそうです。頭を打って脳細胞が死ぬことによる合併症で死ぬのだそうです。

 


二つ目。私は昨夜、あまりに緊張して夜眠れませんでした。では、眠れなかったどうなるか。それもこれに書いてあります。

 

眠れなかったらどうなるかということを実験したのは、アメリカのガードナーという高校2年生です。彼は11日以上の時間をずっと起きて過ごしました。まず2日目に信号を間違えました。4日目になると、自分をプロのアメフトの選手だと疑わなくなったそうです。そして、「お前アメフトできないだろ」と言う人のことを、烈火のごとく怒ったそうです。あまりの危険さに、監視していた大人が実験を中止しました。そして、実験を中止したガードナー少年は、1日くらい寝たことによって完全に復活したそうです。

 

この実験から言えるのは、「寝ないと死ぬぞ」ということです。死に方の本ですから、それは当たり前ですが、自分たちが日頃何気なくしていることをどうやって死に結びつけるか。結構無理やりなところもありますが、それを読むことによって、私の生活が少しだけ変わりました。

 

例えば、私は夜、寝るのが遅いのですが、以前は眠れなかったら「まあ、オールすればいっか」と思っていましたが、最近の私は「お前、オールしたら死ぬぞ。死ぬから寝ろよ」と自分に言っています。

 

この本の魅力や狙いは、最初の扉のところに書いてあります。「ここには45通りの死のシナリオが取り上げられている。今生では巡り合えそうにない設定もある。それぞれについて、あなたが『具体的に』どのように死ぬのか、様々な科学知識を提供しよう、というのがこの本の狙いだ」と。要するに、ただ「あなたの死に方はこれだけありますよ」というのではなく、死に方を通してあなたに科学の知識を提供しますよ、ということなのです。

 

私は科学とか数学とか生物とかが大っ嫌いで、理科のコーナーに置いてある本は一つも読めませんでしたが、そんな私にも面白く読めました。私のように、科学は苦手だけど本は好きだという人も、科学の勉強がしたくなるような本なのです。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル2018全国大会の発表より>

こちらもおススメ

精霊の守り人(シリーズ)

上橋菜穂子(偕成社)

私が本を大好きになったきっかけの本です。バルサのような、強くしなやかでたくましい人になりたいと思いました。また、バルサとタンダの関係も美しいと思います。今でも原点回帰するための、私にとって大切な存在です。

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世界で一番美しい元素図鑑

セオドア・グレイ(創元社)

私が初めてビブリオバトルに参加したのが高校2年生の時でした。その時に紹介した本です。ビブリオバトルの楽しさを私に教えてくれた本です。

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『みえるとか みえないとか』

ヨシタケシンスケ、伊藤亜紗(アリス館)

この本に限らずですが、ヨシタケさんの本はどれも好きです。私の将来の夢が図書館司書なのですが、自分が子供に読み聞かせをするなら必ずヨシタケさんの本を選ぶと思います。勉強に疲れた時の癒しの一冊です。

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谷口さんmini interview

普段は小説を読んでいます。ライトノベルからハードカバーまで様々です。最近は海外の小説も好きで、『星の王子さま』や、『宇宙への秘密の鍵』、『スノードーム』などを読んでいます。好きな作家さんは、上橋菜穂子さんや辻村深月さん、有川浩さんです。最近出会った本で面白かったのは、『私が大好きな小説家を殺すまで』(斜線堂有紀さん)です。 

小学生の時は、『ダレン・シャン』や「デルトラクエスト』、「青い鳥文庫」をたくさん読んでいました。特に覚えているのは、『こんとあき』です。鳥取が舞台の絵本で、絵のタッチも柔らかく、何度も読んでいました。その他では、『西遊記』や『里見八犬伝』などもよく読んでいました。 

 

『精霊の守り人』(上橋菜穂子さん)です。私の将来の夢が図書館司書なのですが、私を本の世界の虜にしてくれて、本に関わる仕事がしたいと思うきっかけの本です。高校1年でホームシックに苦しんだ時期を支えてくれたのもこの本です。

 

『星の王子さま』(サン=テグジュペリ)です。今まで題名は知っていたのですが、読んだことがなかったのでチャレンジしてみました。自分の思い描いていたエンディングとは違い、かなり切ないラストだったのが印象的でした。

 

純文学と絵本をたくさん読みたいです。純文学は今まであまり読んでこなかったので、もっと読んでみたいです。絵本は、インターンシップで子どもに読み聞かせをしてから読むようになりました。自分が幼い頃読んでいた本を、高校生になってから読み返すのも面白くて、新しく出ている本もよく読むようになりました。