高校ビブリオバトル2019

コンプレックスがある人も、見ている世界が変わる!

『嫌われる勇気』

岸見一郎、古賀史健(ダイヤモンド社)

山口晴太郎くん(石川県・小松市立高校1年)

僕が紹介するのは、自分に自信が持てない方にぜひ読んでもらいたい本、『嫌われる勇気』です。皆さんに質問です。「自分にコンプレックスがあるよ」という方、手を挙げてもらえますか。ああ、いらっしゃいますね。そうです、人には大なり小なりコンプレックスがあります。実は僕も、この本と出会うまでは、女の子とうまく話すことができなかったんです。でも、この本に出会って、「あれ、そのコンプレックスって、そこまで深く考える必要ないんじゃないの」とか、「相手はそこ全然気にしてないよ」ということに気付くことができました。自分に自信が持てない方。そしてコンプレックスがあるよっていう方、大丈夫です。この本を読めば、見ている世界が変わります。

 


この本には登場人物が2人います。アドラー心理学に基づいて、人はいつでも変われると主張する哲学の人「哲人」と、「いいや、そんなはずはない。私はコンプレックスのせいで暗い人間になってしまった」と主張する「青年」の2人です。そして、物語は青年が哲人を論破しに行くという設定で、対話形式で進んでいきます。

 

この本は、人生への考え方や悩みを客観的に考えるための項目ごとに書かれていますが、今回、僕が一番紹介したいのは、この本のタイトルでもある『嫌われる勇気』です。ここは、ぜひ皆さんに読んでもらいたいということで、今回は「原因論と目的論」という話をしたいと思います。

 

まず原因論というのは、「何々だからこうなった」ということで、この青年の主張です。つまり、コンプレックスがあるから暗い人間になってしまった、と。なるほど、そのとおりだ。でも哲人は言います。「いいや、違う。もし原因論に基づいて行動していけば、人は一歩も前に進めない。目的論で行動するべきだ」。哲人、何言ってんでしょう。目的論は何かというと、「こうなりたかったから何々した」ということ。つまり哲人は、「青年は暗い人間になりたかったから、コンプレックスという感情を付け加えたんだ」と言うのです。

 

もちろん青年は「どういうことだ?!」と言い返します。すると哲人はこう続けます。「もし原因論が真実であれば、コンプレックスがある人は全員暗い人間になっいてないといけない」。

 

僕は、これを1回読んだだけでは意味がわからなかったです。でも2回、3回読んで、「ああ、コンプレックスがある人が全員暗いってわけじゃないんだな」ということに気付くことができました。

 

でも、まだ「?」マークがたくさん付いている方もいらっしゃると思います。哲学とか心理学って難しいですよね。でもこの本は、哲学や心理学がわかりやすく描かれています。そんな工夫を二つ、見つけました。

 

まず一つ目、登場人物が2人しか登場しません。皆さんはこんな経験はないですか。本を読んでいて、タロウとハナコが付き合っていて、お、キャサリンが久々に出てきたぞ、誰だこいつ、となって、さらにそこに新キャラ登場…もうわからない、ということ。登場人物が2人しかいないので、こういうことが一切ありません。

 

そして二つ目の理由が、先ほども言ったように、この本が対話形式で書かれていることです。それによって、自分の主張を青年の主張と置き換えて、哲人に「それってどういうこと?」と質問することができます。つまり、教科書のように一方的に教えられるわけではなく、自分が青年の立場に立って本との対話が楽しめるんです。この二つの理由が読みやすいポイントかなと思います。

 

この本は、魅力や内容に加えて、僕たちに人生における気付きを与えてくれます。その気付きを生活にどのように生かしていくのか。コンプレックスがあるとか、自分に自信が持てないという方に、最後にもう一度だけ言わせてください。この本を読めば、見ている世界が変わります。

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<全国高等学校ビブリオバトル2019全国大会の発表より>

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山口くんmini interview

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『ジョジョの奇妙な冒険』が印象に残っています。魅力はやはり、先の読めないストーリーと圧倒的作画力です。

 

スポーツをやっているので筋肉トレーニングに関する本、それと好きな哲学の本を読みたいです。