大学生が薦める、高校時代に読んでおきたい本

~大学の授業と本を紹介

鴻野芽依さん(東京大学教養学部理科III類2年)             ※学部・学年は2018年3月現在

高校時代に読んでおきたい本

『もの食う人びと』

辺見庸(角川文庫)

「食」を主題に様々な地域の人びとの暮らしを取材したこのルポルタージュは、目をそらしてはいけない生々しい世界の現状を、高校生の私に教えてくれました。1990年代の話ですが、ミャンマーのロヒンギャ難民の話も載っており、今のニュースを見ていても関連する事柄が多いです。何不自由なく日本での食を楽しんでいた私にとって、この本に掲載されている「食」は想像を絶しており、ショックを受けました。自分のいる状況を相対化するきっかけとなり、早い時期にこの本に出会っていてよかったと思います。

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進路について話そう

■進路に影響を与えた本

 

南木佳士さんの『ダイヤモンドダスト』『医学生』では、医学を学んでいく上で感じることになるかもしれない矛盾や葛藤を垣間見ることができ、漠然としか考えていなかった進路に、高校生なりの覚悟を持って進むきっかけになりました。

 

■進路を決めるにあたって、とった行動

 

学校で募集していた病院見学に行ったり、知り合いの医学部の先輩に話を聞いたりしました。

 

■進路や大学を決める際に、大事だと思うこと

 

大事だと最も強く思うのは、本を読んでおくことです。高校でそれまでよりも読書量が少なくなってしまったことで、大学に入ってから「受験知識」以外の教養が少ないと痛感しました。大学を決める際は、個人的には、様々な分野の授業がとれる大学が良いのではないかと思います。高校までで学べることは限られていますし、もともと考えていなかった分野に惹かれるということがありうるからです。高校生や大学生は、ある分野が無駄だと思って切り捨てることができるほど経験や知識を積んだ段階ではないと感じているので、入学時点で決めた分野以外のことも学べるといいと思います。

 

■理系に進むなら高校時代に読んでおきたい本

『毒ガス開発の父ハーバー』

宮田親平

(朝日新聞社)

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『化学トリック=だまされまいぞ!』

山崎昶

(講談社ブルーバックス)

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『理系の女の生き方ガイド』

宇野賀津子、坂東昌子

(講談社ブルーバックス)

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大学の授業を紹介! 面白いと思った授業はこれだ

■「医学に接する」(1年前期または2年前期)

医学研究室や臨床の場に行って、行っていることの說明を受けたり、実験の体験をさせてもらえたりする授業。平日に週1回通うコースと、夏休みに4日間行くコースがあります。

 

教養科目の間、まだ医学に触れていない期間に、現場の雰囲気を知ることができます。自分でアポを取って行くより、ハードルが低い点がよかったと思います。

 

■教育臨床心理学(1年後期)

青少年期を中心に、拒食症や統合失調症などの疾患について解説があります。具体的なエピソードが満載で読みやすい、先生独自のテキストを用います。

 

具体的な事例が多くてわかりやすく、名前は聞いたことがあるが謎が多い印象の精神疾患などについての知識を得ることができました。教養科目であり教育系の話が中心だと思っていましたが、疾患についての話が多かったことも、面白いと思った理由の一つです。