大学生が薦める、高校時代に読んでおきたい本
~大学の授業と本を紹介
森本優貴美さん(マサチューセッツ工科大学電気電子工学専攻2年)
※学部・学年は2018年3月現在
高校時代に読んでおきたい本

『新世界より』
貴志祐介(講談社文庫)
序盤は古き良き日本を舞台にした超能力ファンタジーかと思いながら読んでいました。しかし、途中から思いがけずどんどんダークになっていき、多くの謎が提示されていきます。混乱しつつも読み進めていくと、終わりにはすべての伏線が回収されます。その深く練られた構想にはただただ驚かされました。衝撃のラストには、人間社会について非常に考えさせられました。
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■進路に影響を与えた本
小さい頃からSF映画が好きで、そこに出てくる夢のテクノロジーに憧れたのが工学部に行きたいと思ったきっかけです。特に印象深いのは『マイノリティ・リポート』です。

■進路を決めるにあたって、とった行動
本やインターネット上の記事、ブログ等を読み、在学生の声を調べました。ブログ等は大学の公式ホームページとは違い、良いことや学業のことばかりではなく、大変なことや生活の様子なども書かれており、とても参考になりました。また、実際に大学を訪れたり、在学生と話をしたりしました。
■進路や大学を決める際に、大事だと思うこと
大学を決める際には、強い分野やカリキュラムと同じくらい、大学の文化や雰囲気が自分に合っているかが重要だと思います。4年間(場合によってはそれよりも長く)過ごす場所なので、自分が成長できてなおかつ楽しめる場所であるのが大切だと思います。
高校時代には、どの教科もきちんと基礎を身に付けておくと良いと思います。大学での授業だけでなく、人と話しているときなどにも、思わぬところで役に立つことがあります。また、高校時代にしかできないことをやっておくことも大切だと思います。部活、文化祭、体育祭などは、高校卒業後はやり直すことができないので、楽しんでおかないと後悔します。
■さらに高校時代に読んでおきたい本

大学の授業を紹介! 面白いと思った授業はこれだ

■Electromagnetic Energy: From Motors to Solar Cells(電磁エネルギー:モーターから太陽電池まで)(2年秋学期)
高校までの電磁気学をさらに深めていく授業です。授業では、スマートフォンのタッチ画面の仕組みから始まり、テスラとプリウスで使われているモーターの仕組みの違いなど、物理の理論だけでなく、それが実世界でどのように応用されるのかを学びます。月に1回ほど、基礎的な実験も行い、レポートを作成します。
高校までは物理で説明できたのは自然事象や簡単なものごとの原理だけでした。しかし、この授業では物理で自分が実際に使っている製品の仕組みを説明できるようになり、感動しました。物理と工学がつながった瞬間でもあり、物理に対するモチベーションが上がりました。履修者数が20名程度と少なく、教授やクラスメイトと仲良くなれたのも良かったです。
■Intro to Western Music(西洋音楽入門)(2年秋学期)
中世の宗教音楽から、クラシック音楽、20世紀の現代音楽までを学ぶ授業。授業では地元の音楽家を招いて生演奏を聴いたり、昔の楽器を見たりします。また、レポート課題のために、ボストン交響楽団をはじめとする、大学近隣のコンサートにも足を運びます。
代表的な作曲家の作風を理解して聞き分けたり、世界史とその時代の作品の特徴のつながりを知ったりと、知らないことをたくさん学びました。また、レポート課題では「音楽の美しさとは何か」「リサイタルを開催するならどんなテーマでどの曲を選ぶか」など、ユニークな視点から作品を見ることができ、面白かったです。