大学生が薦める、高校時代に読んでおきたい本
~大学の授業と本を紹介
石川知輝さん(東京大学文科三類1年) ※学部・学年は2018年3月現在
高校時代に読んでおきたい本

『旅人 ある物理学者の回想』
湯川秀樹(角川ソフィア文庫)
湯川秀樹という名前から「日本人初のノーベル賞」くらいのことしか思い浮かばないのがほとんどだと思いますが、彼は一流の物理学者であると同時に一流の教養人でもありました。何よりも文章がうまい。この本は湯川秀樹の自伝ですが、読みながら彼の前半生と自分を比べてみてください。彼がどれほどたくさん勉強し、教養を身につけ、そして学問を愛していたかがよくわかると思います。大学に入る前に、学問をするとはどういうことなのか、思いをはせることのできる一冊です。
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進路について話そう
■進路に影響を与えた本
・『レヴィナスと愛の現象学』内田樹(文春文庫)
・『カイエ・ソバージュ・シリーズ』中沢新一(講談社選書メチエ)
・『文明の生態史観』梅棹忠雄(中公クラシックス)
・『ローマ人の物語』塩野七生(新潮文庫)

■進路を決めるにあたって、とった行動
東大と京大で進路を迷っていたので、京大を卒業し東大で働いている知り合いの教授のところに話を聞きに行きました。
■進路や大学を決める際に、大事だと思うこと
・入試に必要なくても、大学の志望理由書を一度書いてみること。自分の納得のいく理由がかけるまで妥協しないでください。おそらく、はっきりとした理由なんてないことが強烈にわかると思います。でも、その自覚を持っているか持っていないかで、大学生活の真摯さは確実に変わってくるでしょう。
・図書館に通って、いろんな分野の本の背表紙をひたすら眺めてみてください。タイトルと著者名を知っているだけで、あとで本に「であいなおす」確率は高くなりますし、自分の世界が確実に広くなります。
■さらに高校時代に読んでおきたい本

大学の授業を紹介! 面白いと思った授業はこれだ

■全学自由研究ゼミナール 「現代現象学における西田幾多郎」(1年後期)
日本人哲学者西田幾多郎のテクストを丹念に読み解いたのち、その哲学的モチーフをマルクス・ガブリエルなどによって問い直されつつある現代現象学の文脈に照らしながら、西田哲学の現代的意義について考察します。
間違いなく東大の哲学の授業の中で最もハードで濃密な授業です。哲学者の原テクストを、他の文献や研究書にもあたりながら丹念に読み解いていく作業は、大教室での講義では得られない刺激的なものでした。また、妥協を許さない哲学の「ガチ勢」が集まるのもこの先生の授業の特徴で、お互いに刺激を与えながら成長することができました。
■フランス語インテンシブ(1年前期・後期)
フランス語により習熟することを目的とした授業で、フランス語ネイティブの先生がスピーキング・ライティング・リーディング・リスニングなどの諸能力をまんべんなく伸ばしてくれる授業を行います。
フランス人の先生も日本語はちょっと話せますが、やっぱり片言です(僕の先生は英語はしゃべれませんでした)。その中でお互いが何とか意思疎通を図ろうとする中で授業が毎回行われるため、文法の知識などよりも大事な「言語サバイバル能力」とでもいえるようなものが身につきました。人数を25人以下に限定した少人数指導なのもおすすめな点です。