大学生が薦める、高校時代に読んでおきたい本

~大学の授業と本を紹介

東 由哲さん(東京大学人文学科西洋史学専修3年)          ※学部・学年は20183月現在

 

高校時代に読んでおきたい本

『仮説思考』

内田和成(東洋経済新報社)

大学入学前に「大学や社会では模範解答のない問いに遭遇するようになり、そこで人の賢さが測られる」という主張をよく耳にしていました。受験での勉強には答えがあるとはいえ、僕は頭を使って考えていた自負があり、あまり心配もしていませんでした。しかし答えのない問いにぶつかった時に僕が実際に取った行動は、すぐ資料に当たる等自分の頭で考えることを放棄するものでした。そんな状況から「自分の頭で考えるとはどういうことか」を教えてくれたのがこの本です。

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進路について話そう

■進路に影響を与えた本

 

・初年次ゼミナール授業(詳細は授業紹介を参照)

・『オリエンタリズム』(エドワード・W.サイード)

 

■進路を決めるにあたって、とった行動

 

興味のある道を全てリストアップした上で、どれについても実際その道をいく人に話を聞く機会を探しました。大学に関しては、オープンキャンパスでの模擬講義がその大学の雰囲気をよく表していると今振り返っても感じています。

 

■進路や大学を決める際に、大事だと思うこと

 

大学にしろ、進路にしろ、自分が興味のある道の先を行く先輩を探し、生の声を聞くことが一番です。実際道を先に歩んでいる人からの情報に勝るものはないように思います。

 

また「自分の頭で考える習慣」は高校時代から身につけておけば武器になると思います。日常生活で何か疑問を感じたことに対して、放棄あるいはすぐ検索答えを調べてしまう前に、「なぜこのような問題が起きているのか」を数分で良いので考える習慣は、どの道に進むにせよ強固な土台になります。

 

■歴史分野に進みたいなら高校時代に読んでおきたい本

『戦争の条件』

藤原帰一

(集英社新書) 

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『歴史とは何か』

E.H.カー

(岩波新書)

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『オリエンタリズム』

エドワード・W.サイード

(平凡社)

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大学の授業を紹介! 面白いと思った授業はこれだ

■国際政治学(2年後期)

週3コマの授業で、うち2コマは座学で国際政治の理論モデルの講義を受け、残り1コマでは、国際政治学において古典と言われる欧米学者の英語論文について討論をすることで、徹底的に国際政治理論を身につけることができます。テストとは別に、授業期間中に4000字小論文が2本課されました。

 

討論のために予習として毎週課される英語論文は、現在の国際政治学の礎となっているものであるため、かなり大変でした。しかし、その論点を的確に捉え、筆者の主張に論理性が担保されているか、そしてその主張が現在の国際社会でも妥当性を持つのかを毎週考え抜いたことで、自分の頭で考えるという習慣が身につきました。

 

初年次ゼミナール理科・科学者の哲学(1年前期)

大学での研究者、大企業での研究者、ベンチャー企業での研究者など、様々な研究拠点で活躍する科学者を毎回ゲストスピーカーとして招き、そこで自身がなぜ研究者という道を選んだのか、そして研究者生活の中でどのようなターニングポイントがあったかのお話を聞くという授業です。

 

研究する分野や拠点が異なる中、成功する研究者に共通していたことは、どんなに苦労しようとも折れない好奇心と「自分が初めてこの結果を目にした」という達成感にやりがいを感じていたことでした。僕はそのメッセージをつかんだ結果、自分のキャリアの選択肢から科学者が外れたと同時に、将来を考える上で最も大切にしたい価値観が「社会に貢献する」というものであることを確信できるようになりました。