大学生が薦める、高校時代に読んでおきたい本
~大学の授業と本を紹介
和田美紅さん(東京大学教養学部理科III類2年) ※学部・学年は2018年3月現在
高校時代に読んでおきたい本

『日本文化の論点』
宇野常寛(ちくま新書)
東京の都市構造、インターネット、アイドル、クールジャパンなど、身近な日本のカルチャーを分析することから、その根底にある、現代日本の文化と社会の変遷と未来像を描いた本です。高校生の方にとって、日常の中にある様々な物事を社会と紐付けて分析的に考察をする習慣をつけるきっかけとなることでしょう。この姿勢は、現在の生活の視野を広げるだけでなく、大学受験、ひいてはその後の生活でも役に立つ観点を会得することに繋がるでしょう。内容や文体も高校生向けで、おすすめしたい一冊です。
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進路について話そう
■進路に影響を与えた本
進路選びにおいて、本などが直接影響を与えたわけではないと思います。ですが、医学部に進んで医師となる進路をイメージしようとしていた時期に、『きみが外科医になる日』(NPO法人 日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会編集、講談社)を読みました。また、東大への憧れを抱くきっかけとして、『東大合格生のノートはかならず美しい』(太田あや、文藝春秋)で東大生の勉強法や学生生活を知ったことがあるかもしれません。

■進路を決めるにあたって、とった行動
自分が興味のある進路に進まれた方を、家族をはじめとする周りの大人の中から探したり紹介していただいたりして、どうしてその道に進まれたのか、どのような仕事・働き方をなさっているのかお話を伺う機会を持つようにしていました。これにより、たくさんのロールモデルを持つことができ、自分の将来像がだんだん明確になっていったと感じています。
また、ある程度進路が決まってからは、多くの大学のオープンキャンパスに足を運びました。具体的には、中3から高2の間で、医学部のある計11の大学のオープンキャンパスに参加させていただきました。各大学を比較しながら、どの大学の校風が自分に合っているか、どの大学のカリキュラムが自分に必要かといったことを吟味することができたことは、満足のいく進路選びに繋がったと思います。
■進路や大学を決める際に、大事だと思うこと
検討している進路や大学について、しっかりとリサーチをした上で、自分の理想の将来像をはっきりさせていくことが大事だと思います。これは、受験に向けたモチベーションを高めることに繋がるのみならず、大学生活を目標を持って有意義に過ごす土台作りにもなることでしょう。
■医学分野に進みたいなら高校時代に読んでおきたい本
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■フリークオーター(2年後期)
冬期休暇の間の2週間程度の期間、研究室に通って実験をさせていただいたり、大学の附属病院で臨床の現場を見せていただいたりします。数ある研究室・診療科のうち、どこで何をするかは、学生一人ひとりの興味で選ぶことができます。
医学部は、「医師を養成する」というのが教育の主たる目的のため、基本的には全員が同じ必修の講義・実習に臨むというカリキュラムです。その中で、このフリークオーターという授業では、1人もしくは2人という少人数で、自分の興味に合わせた内容を学ばせていただけるため、自発的に、また楽しく学習をすることができることが魅力と感じています。私は、産婦人科を選択し、研究と臨床の両方を見ることができました。どちらの現場でも、医学に殆ど触れていない私でもわかるように、なさっていることを丁寧に説明してくださり、多くを学ぶことができました。
■中国語初級インテンシヴ(1年前期〜2年前期)
東京大学入学時に上位1割程度の英語力を有すると認められた学生のうち希望者を対象として、日本語・英語に加え第2外国語の運用能力を備えた人材を育成するコースであるTLP(Trilingual Program)の一環として開講された授業です。私が選択した中国語の授業では、週2コマ、ネイティブの先生のご指導のもと、リスニングや会話などの教材を進めました。
理系でありながら、他の学生より多く中国語を学ぶ機会があるのは、第二外国語を楽しめるレベルまで習得する上では大変ありがたかったです。内容も、文法だけでなく、実践的だったため、全学生必修の第二外国語の授業以上にためになるものだったと感じています。