大学生が薦める、高校時代に読んでおきたい本
~大学の授業と本を紹介
小宮貫太郎さん DePauw University/デポー大学(アメリカ・インディアナ州)経済学専攻・メディア学副専攻 2年
高校時代に読んでおきたい本
『歴史とは何か』
E.H.カー 清水幾太郎:訳(岩波新書)
高校生の頃、世界史の授業が好きで手にとった歴史哲学の本です。過去の出来事が歴史上の事実となっていく過程や、因果法則・進化といった歴史観について講義を基にわかりやすく書かれていて、知的好奇心を刺激させられたのでおすすめです。
歴史学だけでなくどんな領域でも、「何かについて学ぶとは何か」について学ぶことは、大学の学問の1つの特徴であると思います。高校卒業後の進路を考える時、自分が学びたいと思っている分野の生まれた背景・発展の過程・社会の中での目的などについて調べてみるのもいいと思います。
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進路について話そう

■海外の大学で学ぶことを決めるきっかけ
直接のきっかけは、高校2年生の夏に校内で開かれた講演で、アメリカのリベラルアーツカレッジの教育について聞いたことです。ただ講義を聞くだけの高校の授業に退屈していた僕は、アメリカの大学での勉強にときめきを感じました。旅行以外の海外経験のないいわゆる「純ジャパ」でしたが、たとえ言語の壁を超えてでもそこに行くことに意義があるように思いました。またその後進路について考える中で、昔からニュースに興味があり新聞制作活動などを続けていた僕にとって、ジャーナリズムを学ぶにあたってアメリカは最適な選択肢でした。
■進路を決めるに当たって、あなたがとった行動
TOEFL・SAT受験といった純粋なテスト勉強は専門の予備校に通いましたが、志望校選びやエッセイ執筆の上で大切だったのはリサーチと自己分析です。具体的には、奨学金財団や予備校、大使館などが主催するイベントに足を運んで情報収集するとともに、海外大生が運営するサマースクールで自己分析の基礎を学び、同じ志望の先輩や仲間と知り合って相談を繰り返しました。
また高校の成績維持も大事なので授業はしっかり受けテスト勉強も頑張っていました。そのおかげで、アメリカの大学への出願が終わった後にセンター試験を受け、日本の国立大学も併願することができました。
学費は最大の問題でしたが、折しも海外大志望者への給付型奨学金が多く新設された時期で、ある財団に支援していただくことができ、現在の進路に決めることができました。
■進路や大学を決める際に、大事だと思うこと
高校の勉強に加えて自分の興味・好奇心を追うことに時間を使うといいと思います。人生設計を作るというほどのレベルに達しなくてもいいと思いますし、1つのことを継続するのもいろいろなことにチャレンジするのもどちらも大切だと思いますが、進路に関しては高校を卒業してしまうと路線変更が難しくなっていくはずなので、今のうちに自分のパッションを探して迷って没頭してみてください。
■さらに高校時代に読んでおきたい本
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■Intermediate Microeconomic Theory(中級ミクロ経済学)(1年後期)
Excelを使った計量経済学の著書を持つ教授による少し変わった経済学のクラスです。1時間の授業が週3コマあり、生徒数は20人ほどでした。
価格・ゲーム理論の根底にある数学と、身近なソフトウェアを用いた応用を同時に学ぶことができたのが新鮮でした。例えば需要曲線を求める際に、紙とペンで偏微分方程式を解くだけでなく、Excelのアルゴリズムの力技で近似値のグラフを出す、といった具合です。キューバ系でアメリカ経済史が専門の教授のユーモア溢れる話が面白く、オフィスアワーに質問に向かうと丁寧に解説してくれたのも印象的でした。

■Sub-Saharan African Music and Dance(サハラ以南のアフリカの音楽とダンス)1年冬学期
リベラルアーツカレッジでは初年度に幅広い分野の授業を取ることが義務付けられていて、そのうち人文/芸術系要件を満たすために取った3週間の冬期集中クラスです。最初の週にアフリカ大陸全ての国と都市名の小テストがあったかと思えば、毎日1時間ダンスの時間があり、他にも西アフリカの楽器体験や毎回のディスカッション、映画鑑賞、グループプレゼンなど、厳冬のなか頭も体も使って学んだ3週間でした。
アメリカでは、歴史・社会における人種の問題もあってアフリカに対する関心が高く、そうした視点を通して世界の他地域の文化を学ぶことができたのは良い経験でした。最終日には音楽学部の大ホールを貸し切って、生徒全員がガーナの歌・楽器・ダンスのコンサートに出演しました。