ふくろう先生の新書探検隊
第3回 今の世界は資本主義による市場に支えられている?〜経済学に学ぼう
<その1>資本主義を考えてみる〜まずは基礎
私たちの日常生活は、資本主義による市場の経済が成立し、その上の産業(モノが製造され、商売を通して売られ買われるなど)がうまく回ることで成り立ってきました。しかしそこに減速は許されないようです。貧困や格差も地球の温暖化も、資本主義の中にあり、それらをなくすことなどできるのか。そこで今回は、その経済の仕組みを考えている「経済学」についての新書をいくつか取り上げてみました。経済学は、どう日常生活や社会を分析しているのでしょうか。
◆ふくろう先生から皆さんへ
~考えながら、読んでみよう!
・経済を分析する経済学に誤謬はないのだろうか?
・現代の金融資本主義は世界の人々を満足させられるのだろうか?
考えるヒント
例えば、いろいろな経済学理論(需要と供給のバランスなどの理論)は正しいという答えもありでしょう。さらに金融商品も貨幣の延長として同等の価値があり、その拡大により世界の経済活動は拡大し、最終的には人々のしあわせに繋がる、などという答えもあると思います。




◆ふくろう先生は「こう考えた!」

経済学はこれまで外部環境が無限だという前提で理論を組み立ててきましたが、現実の世界・社会では、実はこれまで常に有限環境だったはずで、だから経済学理論には必ず限界があるだろうと考えます。本の中では経済学として難しい言い回しや理論が出ますが、高校生であっても読者として鵜呑みにせず疑って欲しいと願って、この問いを投げかけました。生命科学研究に携わってきた私の見方は、的外れかもしれず、世間では認められていないかもしれません。なぜなら、近代経済学は確立された学問分野として、今も世界で教育研究されていますから。
また、金利による自己増殖能を獲得した貨幣や資本は、まだそれ自体交換価値を有すると捉えられますが、デリバティブなど金融工学で生まれた金融商品は、実はそれ自体の原資が貨幣であり、ある意味詐欺と同等と考えられるかもしれません。これは私の誇張なのかもしれませんし、当然どの著者も述べていません。なぜなら、現代の金融が世界で認められ、実際にも利用されているのですから。ただ、金融商品は本当に世界の人々にしあわせを届けることができるのだろうかと、疑ってみるのも悪くないかもしれないと思います。